2018 Fiscal Year Research-status Report
真空下鋳包み鋳造と熱間鍛造を組み合わせた革新的偏析レス大型構造用鋼材製造技術
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16K06818
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
磯部 浩一 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10373929)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鋳包み / マクロ偏析 / 凝固 / 真空鋳造 / 熱間鍛造 |
Outline of Annual Research Achievements |
鋳包み法によるマクロ偏析を防止技術の確立の一環で、確立した小型鋼塊でのマクロ偏析再現手法を用い、芯材(S50C)サイズを従来の60mm角から35mm角に減少して、芯材を鋳包む実験を実施し、偏析抑制効果に及ぼす芯材サイズの影響を調査し、併せて、鋳包みでの芯材と凝固層の接合状況の調査も実施した。その結果、鋼塊断面サイズ150mm角に対し、60mm角の芯材では、芯材無し以外は同一の条件で鋳造した偏析再現実験で生成した中心偏析や逆V偏析といったマクロ偏析の生成を完全に防止できたのに対し、35mm角の芯材では、鋳造時に芯材上部の一部溶解したり、注湯流の衝突圧力で芯材が曲がり、鋼塊上部の凝固領域が拡大したり、凝固速度の減少により、中心偏析の生成は防止できたものの、逆V偏析の生成は完全には防止できなかった。上記には実験費用抑制から注湯方法に下注ぎでなく上注ぎを採用した点や注湯性確保の点から注湯温度を高めに設定したことも影響したと推察される。 また、本法によるマクロ偏析防止効果の定量評価のため、偏析再現実験の鋼塊と60mm角の芯材を鋳込んだ鋼塊からサンプルを切り出し、EPMA元素マッピングで凝固偏析部のC,Mn,P元素の溶質濃度分布を調査した結果、偏析再現実験でのC,Mn,Pが高濃度の台地状偏析部が上記鋳包み材では消失したことを確認した。併せて、芯材と凝固層の界面の光学顕微鏡およびSEMで高倍率観察を実施し、芯材と凝固層が完全に接合していることが判った。 さらに、本研究で開発した鋳包みシミュレーションモデルで解析した結果、60mm角の芯材では、芯材が吸熱することで芯材側からも凝固層が成長し、芯材無しに比べ凝固速度が大幅に増大し、鋼塊全体の凝固時間も大幅に短縮され、最終凝固部も周辺側へズレ、それらの効果でマクロ偏析の原因である濃化溶鋼の流動が抑制され、マクロ偏析の生成防止に繋がったと推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
偏析再現実験や鋳包み鋳造実験に用いる、実験委託先の真空溶解炉で他の実験がなされた際、ルツボから溶鋼が漏れ、真空チャンバーが溶損したり配線ケーブルが焼損するトラブルが発生した。 作業委託先でその修理のための予算費用の獲得や真空チャンバーや配線ケーブルの修理、真空炉溶解炉の立上げ、調整等に時間を要したため、1年半実験ができない期間が生じたため、実験の再開が本年2月にまでずれ込んでしまい、上記トラブルの影響で研究の進捗が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年2月に実施した鋳包み実験まで含めたデータに基づき、開発した鋳包みのシミュレーションモデルを用いて解析を実施し、芯材と凝固層が接合した熱的条件や凝固条件および接合した機構について考察する。併せて、芯材が溶損したり注湯流からの圧力で変形したケースでの温度場件等から芯材の溶損や変形が起きる熱的条件および凝固条件等について考察を加える。 また既に本科研費での予算をほぼ消化したため、別の予算を確保して芯材を鋳包んで製造した鋼塊新たに製造し、その鋼塊を20φ~60φ程度の丸棒に熱間鍛造する実験を行い、その鍛造材において芯材と被覆層である凝固層の接合状況を調査し,接合に問題のないことを確認して行く。 さらに、本研究得られた成果をまとめて学会および学振の研究会で発表したり、論文に纏めて投稿して行きたい。
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Causes of Carryover |
委託実験を行う真空溶解炉で、1作年の溶損トラブルの発生し、その修理、再稼働に1年半を要したため、実験が大幅に遅延し、実験が本年2月までにズレ込んだためその実験まで含めた解析が次年度まで持ち越し、その結果を纏めて学会発表するののも次年度にズレこんだ。 今年度上記解析を行い、それらの成果も含めて纏めて学会発表する計画であり、持ち越した残額はそのための旅費等に充当して行きたい。
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