2016 Fiscal Year Research-status Report
単分散ナノラテックスの環境低負荷型合成プロセスの開発および周期性ナノ構造材料創製
Project/Area Number |
16K06841
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 治之 東北大学, 工学研究科, 助教 (80565820)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ポリマーナノ粒子 / 乳化重合 / 単分散粒子 / 自己組織化 / インバース構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
粒径が 50 nm 以下のポリマーナノ粒子(ナノラテックス)は近年用途が広がってお り、その粒子径分布は狭く単分散であることが求められている。例えば、医療・分析分野では、ナノラテックス径のわずかな違いで検出感度や薬物送達能などに大きな影響を及ぼす。ポリマーナノ粒子が単分散であれば、自己組織化により規則的な配列体構造を形成する。この配列体を利用すれば、微細で緻密なナノ構造を持つ機能性材料を省エネルギーで作製できる。本研究では、環境低負荷型の乳化重合法による単分散ポリマーナノ粒子合成技術を基礎として、メソとマクロ領域の境界である50 nmのサイズ域におけるポリマーナノ粒子やそれを利用したナノ構造材料の作製に取り組み、新規機能性材料の創成を目指す。 平成28年度は、粒径 50-200 nm程度の単分散ポリマーナノ粒子のコロイド結晶を鋳型としたインバースポリマー膜の作製に取り組んだ。表面電位が負のポリマーナノ粒子を用いた。コロイド結晶作製では、従来のサブミクロンサイズの単分散ポリマー粒子の自己組織化とは異なる挙動をとることがわかった。インバースポリマー膜の作製においては、骨格となる水溶性ポリマーを狭い粒子間隙に充填することが困難であった。これらの問題点に対して、コロイド結晶の作製手法を見直し、また水溶性ポリマーの分子量や濃度を調整することで、多層のインバースポリマー膜をガラス基板上で広範囲に作製できる技術を確立した。ポリマーコロイド結晶ではこれまで作製が困難であった 100nm以下の規則的細孔を形成させることに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の根幹である、50nm程度の細孔が規則的に配列したインバースポリマー膜を再現性よく作製する技術を確立できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
粒径30-100 nmの単分散ポリマーナノ粒子を利用した膜材料や微粒子合成に取り組む。 メソとマクロのサイズ域の境界にあたる 50 nm程度の細孔など微細な構造を有する材料を作製し、発現する特異な物性を明らかにする予定である。
|
Causes of Carryover |
動向調査のための海外の学会への参加を1年目に計画していたが取りやめた。それに代わり、2年目以降の成果発表のための学会参加を増やす予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表する機会を多くするため、国内外への学会参加に係る旅費・参加費として使用する。また、必要に応じ研究に要する物品費にも充てる。
|