2016 Fiscal Year Research-status Report
製造現場における安全性と生産性を両立するエンジニアリング業務支援環境の構築
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16K06843
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
北島 禎二 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80273845)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 化学プロセス産業 / プラントライフサイクルエンジニアリング / プロセス安全管理 / 業務プロセスモデル / 工程設計・管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,化学プロセス産業を対象に,製造現場において高い安全性と生産性を両立させることを可能とするプロセス・プラントエンジニアリングのための設計・開発支援環境を構築することを目的とする.製造現場のエンジニアリング業務機能の在るべき姿として描き下した業務プロセスモデルを構築し,それをベースにプラントのライフサイクル全般にわたる安全管理を統合した工程設計・管理業務の要求開発を行うことにより,既存の職制や組織に依存しない,製造現場の業務を論理的に支援するエンジニアリング支援環境を,以下の2点に着目して構築することとした.【目的1】工程設計・管理のエンジニアリング業務プロセスモデル構築,【目的2】製造現場で「使える」エンジニアリング業務支援環境の実現. 平成28年度は,【目的1】を達成するために,「工程設計・管理エンジニアリング業務プロセスモデルへの拡張・展開」を行った.具体的には,構築済みのプラントライフサイクル・エンジニアリングのための業務プロセスモデルのうち,概念設計および基本設計ステージの詳細レベルを拡張・展開し,開発した.これにより,プロセス安全管理に該当する業務アクティビティが,具体的に設計エンジニアリング業務上のどのステージで実施されているかを明らかにした.これまで,抽象的あるいは非常に概念的なものを除いて,プロセス・プラントのエンジニアリング業務のモデルがなく,とくに具体的に業務プロセスとして描き下したようなモデルはなかった.本成果により,これまで暗黙的かつ属人的であったエンジニアリング業務自体を議論するための基盤が整ったことになる. また,次年度以降に主に実施する予定の【目的2】のための事前検討として,関連する製造の統合やプロセス安全管理に関する標準規格,ガイドラインについての情報収集と調査を行い,海外を含めた昨今の潮流を精査した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では平成28年度内に,「工程設計・管理エンジニアリング業務に関するケーススタディ・シナリオの策定」と「工程設計・管理エンジニアリング業務プロセスモデルへの拡張・展開」とが実施済みの予定であったが,「工程設計・管理エンジニアリング業務に関するケーススタディ・シナリオの策定」が遅れている. この理由としては,現実的に意味のあるケーススタディ・シナリオを策定するにあたり,関連する標準規格等に準拠したものとするため,それらの調査を行ったところ,改訂や新規発行のあった関連規格,ガイドラインが複数あり,再度それらの内容を精査しなおすことに時間がかかってしまったことが原因である. また,国内企業に対する訪問調査や工場見学が,本課題採択以降での相手先との日程調整が折り合わず,年度内に実施できなかった. 「工程設計・管理エンジニアリング業務プロセスモデルへの拡張・展開」に関しては,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,主に【目的2】達成のために,工程設計・管理のエンジニアリング業務支援環境の要求開発,構築(実装及び統合)を行う.具体的には,「工程設計・管理エンジニアリング業務支援に対する要求開発」「工程設計・管理エンジニアリング業務支援環境の構築」「工程設計・管理エンジニアリング業務支援環境の評価及び改善」へと当初計画通りに課題を進めていく予定である. ただし,「工程設計・管理エンジニアリング業務に関するケーススタディ・シナリオの策定」の進捗が遅れているため,「工程設計・管理エンジニアリング業務支援に対する要求開発」の中でケーススタディ・シナリオを煮詰めていくことによって,ウォーターフォール的に開発を進める過程を一部並行して実施するアジャイル的な開発手法を採り入れ,後れを取り戻すことを試みる.
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Causes of Carryover |
現在までの進捗状況において,「やや遅れている」とした理由に記載したように,標準規格,ガイドライン等に関する動向調査に時間を要してしまい,要求開発のためのハードウェア面およびソフトウェア面での環境構築に着手できなかったことが主な原因である. また,本課題の採用時期がほぼ年末であったため,年度内の関連分野の主だった学会が終了しており,情報収集,成果発表等を目的とした学会参加が年度内に行うことができなかった.国内企業に対する調査訪問,工場見学等についても,相手先との日程調整が折り合わず,年度内に実現することができなかった. これらの理由により繰り越しが発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に実施できなかった分,平成29年度以降の国内および国際会議等への参加,国内企業への調査訪問,連携研究者との打合せ回数を当初計画より増やすとともに,未着手となってしまった要求開発のための開発環境の整備を実施する. また,計画期間中にちょうど関連標準規格書,ガイドライン等の改訂や発行が進んだタイミングにあたっており,計画時の想定よりそれらの必要購入量が増えたため,それらの購入にも繰り越し分を充てる計画である.
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