2018 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of Stimuli-Responsive Nanocapsule Comprised of Silica Cross-Linked with Disulfide Bonds
Project/Area Number |
16K06846
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松根 英樹 九州大学, 工学研究院, 助教 (10380586)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ナノカプセル / 環境応答性 / 抗がん剤 / DDS / シルセスキオキサン / 配位結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではグルタチオン(GSH)と反応して構造が変化する新規機能性カプセルを開発し,DDSの担体へ応用を図ることが目的である.特に,GSHが金属イオンに対して高い親和性を有する点に着目し,金属イオンを架橋点に利用したネットワーク構造の材料を新たに設計した.具体的には,かご型シルセスキオキサン(POSS)を構成要素にその有機官能基同士を金属イオンとの配位結合によって三次元的に架橋して集積させることで新規機能性カプセル(POSSn)を調製した.もしPOSSの有機官能基よりも金属イオンに対して親和性の高いGSHがPOSSnに作用すると,POSSと金属イオン間の配位結合が開裂し,細胞内で内包物が放出されると予想される.POSSnの構成単位としてアミノ基を有するPOSS(POSS-NH2)を,配位結合による架橋剤として亜鉛イオンを用いて,新規機能性カプセルPOSSnの調製を検討した. 調製した新規機能性カプセルPOSSnのGSHへの応答性を調べると,GSH添加後,直ちにDOXが放出される様子が観察された.それに対しGSHを添加しない系だとほとんど放出されなかった.以上の結果は,POSSnがGSHと反応して内包していた DOXを放出したことを示しており,設計通りのGSH応答性の機能を有していることを示している.また,POSSnのHeLa細胞への作用を調べると,POSSが細胞内に取り込まれ,かつDOXを放出する様子が観察され,その結果,細胞が死滅することを確認した.これは,POSSnを構成する亜鉛イオンが細胞内GSHにより取り除かれ,POSSnが構造崩壊した結果,DOXが放出されたものと考えられる. 以上より,GSH応答性を有する新規機能性カプセルPOSSnの調製に成功した.本法を用いることで,GSHで放薬制御ができるDDS担体を簡便に構築できると期待される.
|
Research Products
(5 results)