2016 Fiscal Year Research-status Report
超臨界流体法による多孔性配位高分子-ナノ粒子複合体の創製とその工業的利用技術開発
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16K06850
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
松山 清 久留米工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (40299540)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超臨界流体 / 多孔性配位高分子 / 金属-有機骨格体 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
多孔性配位高分子(PCP)および金属-有機骨格体(MOF)は、規則正しいナノサイズの細孔を持つ多孔性結晶であり、既存のゼオライト/メソポーラスシリカ/ポーラスカーボン等を凌駕する新たな多孔質材料として注目されており、その工業的実用化が期待されている。本研究では、超臨界流体法を用いて、PCP/MOFの微細な細孔構造の制御を試み、PCP/MOF細孔中への貴金属ナノ粒子の分散・固定化技術について検討している。平成28年度は、PCP/MOFの規則正しい細孔構造を利用して、「1)高透過性・分離性を有する水素分離膜の開発」、「2)高選択性・高活性を有する触媒の開発」としての応用技術の開発について検討した。その結果、超臨界含浸法を用いて水素吸着特性を有するPdナノ粒子をPCP/MOFであるMIL-101(Cr)のメソ孔内に固定化することができた。MIL-101(Cr)のメソ細孔内に固定化したナノ粒子は、ほぼ細孔サイズと同等の2nm程度で、細孔内でこれらの粒子が凝集することなく、固定化されていることを示せた。一方、汎用溶媒を用いた含浸法の場合、粒子の凝集が顕著となり、超臨界含浸法の優位性を示せた。また、PCP/MOFのメソ孔にRuおよびPdの前駆体を含浸させ、Rh様な特性を有するPd-Ru固溶合金ナノ粒子の合成を試み、その触媒活性について評価した。Rh様な特性を有するPd-Ru固溶合金ナノ粒子の合成技術は、元素間融合技術として、新たな機能性や極めて大きな触媒活性を有するナノ粒子合成技術として大変有効な技術と考えられ、三元触媒などのコストを大幅に削減できる技術としても期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超臨界含浸法を用いて、アルミナ多孔質担体上での成膜化したPCP./MOFに水素吸着特性を有するPdナノ粒子を固定化することができ、水素分離膜への応用について検討することができた。 さらに、PCP/MOFのメソ孔にRuおよびPdの前駆体を含浸させ、Rh様な特性を有するPd-Ru固溶合金ナノ粒子の合成を試みた。HAADF-STEM(高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡)により複合粒子を観察したところ、細孔内で形成された数ナノサイズの同一の粒子からPdおよびRuに起因する元素を検出できた。さらに、Pd-Ru複合粒子のCO酸化反応による触媒活性試験を試みた。PdおよびRuのみの場合、COの完全除去に約200℃の反応温度が必要であったのに対し、PCP/MOFに固定化されたPd-Ru複合ナノ粒子は、約100℃でのCOの完全除去が達成でき、極めて触媒活性の高い複合体を形成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降は、サブテーマ「1)高透過性・分離性を有する水素分離膜の開発」、「2)高選択性・高活性を有する触媒の開発」に関する最適条件の決定に関する研究を行いながら、「3)新たな薬剤を探索する分子認識デバイスの開発」に関する研究を重点的に実施する。 「1)高透過性・分離性を有する水素分離膜の開発」、「2)高選択性・高活性を有する触媒の開発」については、調製したPCP/MOF-Pd複合体の高透過性/分離性を有する水素透過膜や水素化触媒としての応用について検討する。特に超薄切片法によるTEM観察の結果から、超臨界流体法においては、相溶性の全くない元素同士の複合化が可能であり(例えば、PdとRu)、それらの微細構造と触媒特性の関係について明らかにする。「3)新たな薬剤を探索する分子認識デバイスの開発」については、タンパク質や細胞により表面処理を施したPCP/MOFの応用方法として、調製した多孔性配位高分子膜の生体分子認識センサーとしての利用、PCP/MOFを担体とした薬剤の徐放性試験、敗血症・感染症に大きな影響を及ぼすことが知られている細胞質内タンパク質HMGB1(High Mobility Group Box 1)の抑制薬剤のモデル物質探索としての利用について検討する。化学修飾を施したPCP/MOF膜を水晶振動子上に成膜し、表面修飾分子と目的の生体分子の相互作用を水晶振動子(QCM; Quartz Crystal Microbalance)により解析する。
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Causes of Carryover |
超臨界流体法により調製した多孔性配位高分子(PCP/MOF)-貴金属ナノ粒子複合体の利用法として、調製したPCP/MOF-貴金属ナノ粒子複合体が特異な触媒活性を有していることを見出した。この特異な触媒活性を評価するために、MOF/PCPに固定化した貴金属ナノ粒子の観察には、ミクロトームを利用した超薄切片法によるTEM観察が必須であり、これらの試料作製のために当初の計画よりも経費が多く必要となった。このため、計画していた旅費や試薬(特にタンパク質)などの購入のための予算を圧迫してしまう状況となってしまい、前倒し支払い請求を行った。しかしながら、ナノテクプラットフォームの事業に参画することにより、サンプルの調整や撮影が比較的、少ない費用で行えたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額が生じた経費については、昨年度のTEM観察により圧迫した旅費や試薬(特にタンパク質)などの購入のための予算に補充する予定である。
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Research Products
(6 results)