2017 Fiscal Year Research-status Report
超臨界流体法による多孔性配位高分子-ナノ粒子複合体の創製とその工業的利用技術開発
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16K06850
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
松山 清 久留米工業高等専門学校, 生物応用化学科, 准教授 (40299540)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超臨界流体 / 多孔性配位高分子 / 金属-有機骨格体 / バイメタルナノ粒子 / 超臨界含浸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、超臨界含浸法および超臨界乾燥法を用いて、多孔性配位高分子MIL-101(Cr)のメソ細孔へ貴金属ナノ粒子を固定化し、その触媒活性評価について検討した。超臨界含浸法を用い、酢酸パラジウムを前駆体とすることで、Pdナノ粒子をMIL-101(Cr)のメソ孔内に固定化することができた。このときのPdのMIL-101(Cr)に対する含浸量は、XRF(蛍光X線分析)による測定結果から、汎用多孔質シリカを担持体とした場合に比べ、数倍に増加することがわかった。さらに触媒活性の高いナノ粒子の固定化技術を提案するために、Pd-Ruバイメタルナノ粒子の固定化についても検討した。MIL-101(Cr)に固定化されたPd-Ruバイメタルナノ粒子のHAADF-STEM(高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡)によるEDX元素マッピングを試みたところ、細孔中にPdとRuの元素から構成された数nmサイズの粒子が固定化されていることが確認できた。MIL-101(Cr)に固定化したPd-Ru複合粒子のCO酸化試験を実施したところ、PdおよびRuのみを担持させたMIL-101(Cr)は、COを完全に除去するのにそれぞれ約150℃および170℃の温度が必要であった。しかしながら、Pd-Ruバイメタルナノ粒子は、Rhよりも低い約110℃でCOの完全除去が可能であり、PdやRu単独の粒子に比べ、低温度で触媒活性を示すことが分かった。MIL-101(Cr)に固定化されたPd-Ruバイメタルナノ粒子は、多孔質シリカに比べて高い活性を有することもわかった。この現象は、ナノ粒子の担体の細孔サイズ、ナノ粒子の含浸量、ナノ粒子の電子状態に担体が大きく影響を与えているものと考察される。これらのメカニズムについて、XPS(X線光電子分光法)により解析することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超臨界含浸法を用いて、多孔性配位高分子MIL-101(Cr)のメソ孔にRuおよびPdから構成されるバイメタルを合成することに成功した。HAADF-STEMにより複合粒子を観察したところ、細孔内で形成された数ナノサイズの同一の粒子からPdおよびRuに起因する元素を検出でき、MIL-101(Cr)を母体とするPdとRuが均一に複合化された100nmオーダーの粒子であることがわった。XPSによるMIL-101(Cr)に固定化されたPdの電子状態の解析を行ったところ、バルク状態のPdに比べ、Pdの3d軌道に起因するピークは、低結合エネルギー側に移動していた。PdからMIL-101(Cr)への電荷移動が、触媒活性の向上に起因していることがわかり、触媒活性発現のメカニズムについても検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
超臨界流体含浸法を用いて調製して固定化したバイメタルナノ粒子は、前駆体濃度によりナノ粒子の配合比率に影響し、その触媒特性も大きく変化することがわかった。そこでXRFおよびHAADF-STEMを用いて、種々の前駆体濃度で調製したバイメタルナノ粒子の微細構造および触媒特性の関係を明らかにする。また、PdやRu以外の安価な金属イオン(例えばCu)から構成される高活性を有するバイメタルナノ粒子の合成方法についても検討する。ナノ粒子を固定化した多孔性配位高分子を実際の触媒や分離材料としての利用を提案するため、ナノ粒子が固定化された多孔性配位高分子の他材料との複合化についても検討する。また、水晶振動子(QCM; Quartz Crystal Microbalance)を用いて、タンパク質や細胞により表面処理を施したPCPによる分子認識デバイスの開発についても検討する。
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Causes of Carryover |
超臨界含浸法を用いて調製した多孔性配位高分子-バイメタルナノ粒子複合体は、単独の貴金属粒子から構成される複合体より高い触媒活性を有することがわかった。このときの前駆体の選定が想定よりも順調に進んだため、次年度使用額が生じた。これらについては、触媒活性評価のための試薬等の購入に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)