2017 Fiscal Year Research-status Report
層状無機水酸化物を基盤とするIntercalation Catalystsの創成
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16K06852
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原 孝佳 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60437358)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 層状無機水酸化物 / 層状複塩基性塩 / 層状希土類水酸化物 / アニオン交換 / 不均一系触媒 / インターカレーション / グリーンケミストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では,アニオン交換性層状無機水酸化物,特に層状複塩基性塩(HDS)および層状希土類水酸化物(LRH)のアニオン交換能を駆使し,様々なアニオン性遷移金属錯体を導入した新規不均一系触媒を設計することを目的としている. 当該年度では,(1) Ni(II)-Zn(II)で構成されるHDS, NiZn, 層間内へ[CuCl4]2-を導入した触媒の設計,および(2)酢酸アニオン導入型Y(III), Gd(III), Yb(III)で構成されるLRH触媒を設計した.以下,概要を述べる. (1) K2CuCl4水溶液を用いてアニオン交換反応により合成したNiZn層間内に単核[CuCl4]2-錯体を導入した[CuCl4]2-/NiZn触媒を用いると,ベンジルアルコールとアセトニトリルとの酸化的カップリング反応が効率良く進行し,対応するbeta-ケトニトリルが高収率で得られることを見出した. 効率的な反応には,酸素分子およびKOHの存在が不可欠であることを見出した.詳細に反応パスを検討したところ,塩基によるアルドール縮合は進行せず,アルコールの酸化的脱水素反応とシアノメチル化反応が逐次的にワンポットで進行していることを見出した.(2)上述の3種の希土類元素で構成される硝酸アニオン導入型LRH触媒, NO3-/R-LRH (R=Y, Gd, Yb),を合成し,アニオン交換により酢酸アニオンを導入した3種の触媒を合成した.これらAcO-/R-LRH触媒は,水溶媒中で特異的に膨潤することがわかった.放射光を用いた時分解X線回折実験から,水による膨潤は極めて速く起こり,瞬時に層間隔が拡大していることがわかった.得られた触媒は,ブロンステッド塩基性とルイス酸性が協奏的に機能していると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種類の層状アニオン交換体を用いた触媒設計として,(1)触媒担体としての利用,(2)水酸化物特有のブロンステッド塩基性,(3)基本層を形成する金属水酸化物のルイス酸性,(4)層間内への複数機能の集積化,(5)反応条件下における層間のバルク構造の変化,それぞれにおいて新規な知見が得られている. 反応活性評価を行うモデル反応を選択する際,さらに高付加価値生成物が得られる物質変換反応へと応用する必要がある.例えば,アルデヒド類のアンモ酸化反応によるニトリル合成など,工業的にも有用な反応に応用する.また,溶液中にて精密に合成した不安定化学種の安定担持にもチャレンジし,さらに有効な不均一系触媒の設計指針が得られるよう研究を展開する. また,回分式反応のみならず,固定床流通式の反応システムへと展開し,生産速度を向上させることも視野に入れた研究を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
アニオン交換反応を駆使することで,熱的・化学的に不安定であるが強力な反応性を示す金属オキソ錯体種,例えばMnO4-やRuO4-など,の固定化や,触媒としてほとんど用いられていない層状無機カチオン交換体を用いた触媒設計を行い,グリーンな物質変換反応へと応用する.種々の分光学的手法,特に放射光を利用した手法を駆使し,合成した触媒の構造解析や反応解析を併せ,高い触媒機能の起源を探り,さらに高機能な触媒設計へとつなげる.
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Research Products
(12 results)