2017 Fiscal Year Research-status Report
表面金属種の配列を制御した二元系金属担持触媒の開発
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16K06856
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永長 久寛 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (90356593)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 金属担持触媒 / 貴金属 / 遷移金属 / 二元金属触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来よりも少量の貴金属で高活性を示す触媒調製法の開発手法として貴金属触媒への他種遷移金属の添加が有効である.申請者は,貴金属担持触媒の調製方法として,①高分子保護剤の存在下で金属イオンを還元し,金属粒子コロイドを調製し,②これらを担体に担持,酸化・還元処理する手法(保護コロイド法)を駆使することにより,白金粒子表面上に遷移金属を部分的に,かつ高分散に配置した「部分被覆型複合粒子担持触媒」を調製し,同触媒が高活性を示すことを見出した.本研究では,調製過程や条件を緻密に変えることで粒径、表面の金属配列を制御した貴金属-遷移金属部分被覆型複合粒子担持触媒を開発している.これら複合粒子担持触媒の構造について精密に解析し,その触媒特性について明らかにし,さらに,調製過程における部分被覆型複合粒子の構造変化を追跡している.今年度は 前年度に引き続き,種々の貴金属と遷移金属を組み合わせた貴金属‐遷移金属複合粒子担持触媒の開発を行った.検討事項として,まず,貴金属粒子をコア部とし,他種元素の添加効果について検討する.各種貴金属(Pt, Pd, Rh)、遷移金属(Fe, Mn, Co, Ni, Cu)の組み合わせを変えることにより部分被覆型バイメタリック粒子を調製した.また,添加する元素として、他種の遷移金属(Mn、Co、Ni)を用いた際の効果について検討し,貴金属との複合化にはFe酸化物が有効であることを見出した.前駆体や調製条件を変えた際の構造変化について知見を得た.さらに,Pt-Rh担持触媒遷移金属の吸着量,COの貴金属への化学吸着量測定や吸着CO種のFTIRスペクトル測定により簡便に調べ,第一原理計算を用いてHAADF-STEM, EXAFSにより詳細に触媒構造を解析した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では,当初に目的とした実験科学的手法による金属担持触媒材料の調製と物性評価を行うとともに、第一原理計算を用いて各調製法で得られたナノ粒子触媒の構造安定性や表面の電子状態を調べ, 構造と電子状態との相関について検討した.その結果,Pt-Rhバイメタリックナノ粒子触媒は光還元と加熱還流による逐次的な還元によりCore-Shell型, NaBH4を用いた同時還元により合金型が調製可能であること,両者の構造安定性を調べ,合金型がより安定であることなどを見出した.また,Core-Shell型においてShellを形成するRh原子層を厚くしていくと,最も高いNO-CO反応活性を示した1:1のナノ粒子モデルにおいて表面層のd-Band centerの値が最大となることを明らかにした.これらの結果は当初に予定していた実験計画の進捗状況を超えるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに調製したバイメタリック触媒について,CO酸化反応,水素化反応,脱水素反応など,種々の触媒反応に用い,その構造と触媒特性の相関性について明らかにする.検討事項として,CO酸化,アルカン脱水素,アルケン水素化など,Pt, Pd, Rhが得意とする反応について,金属添加により活性、選択性の変化の有無を検討するとともに,単一の貴金属のみでは進行しない触媒反応への適用性について明らかにする. 本研究ではさらに挑戦的な課題として,キュービック型金属粒子を調製し,これにFe,Mnなどの遷移金属を添加,担持することにより原子レベルで構造制御したバイメタリックサイトを創製する.以上の結果を体系的にまとめ,ライブラリを作成する.
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Research Products
(6 results)