2018 Fiscal Year Research-status Report
主流乱れを受ける超音速機の着陸降下時における空力操舵計画に対する時系列的最適化
Project/Area Number |
16K06888
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
金崎 雅博 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (10392838)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 数値流体力学 / 飛行力学 / 超音速航空機 / 離着陸 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,超音速旅客輸送機(Supersonic Transport: SST)の再度の実現に向けた研究が国内外で盛んであり,高速飛行時の諸問題を解決技術が多く提案されている.一方で,実用化に大きく関係するSSTの着陸降下時操舵に関わる空力的研究は,基礎的な低速空力研究に止まっている.そこで本申請研究では,安全性にも影響するSST降下時での時系列的空力操舵に最適化法の適用を行い,主流乱れも考慮したリスク低減への応用を目的として計画・実施を行った. まず,「高精度数値流体力学による空力データベースの効率的構築」を行った.ここでは,非構造格子法に基づく圧縮性Navier-Stokes方程式を解くソルバーを用い,デルタ翼を持つ機体の低速高迎角特性を中心に取得した.Cross variationを用い,この空力データベースがKriging法により非計算実施点での空力を精度よく推定できることなどを確認した. 続いて,「空力-運動連成計算によるSST降下経路計算と時系列的評価」を実施した.ここでは,着陸することを制約条件とした問題の解の存在範囲(初速,初期迎角,初期舵角など)の検討を行い,妥当な範囲を得た. 最終的に,進化計算に基づく最適化法を援用し,「時系列的な空力操舵に対する最適化法の実運用」を実施した.気体運動の初期値を数ケース用意し,大域的最適化法である進化計算によりロバストに解が求められることを示した.これらの成果は,国際会議ISMSI2018で論文発表を行ったほか,国際会議でも公表予定である.また,外乱の影響を考慮した飛行経路最適化を実施中であり,さらに高揚力装置の影響などを加味した計算を実施する予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「高精度数値流体力学による空力データベースの効率的構築」において,格子点依存性を確認し,さらにデータ取得点が空力推定に及ぼす影響性を検証している.高精度数値流体力学による計算は,本研究の中で最も高コストな実施項目であるが,結果の品質を左右するため,妥当性を示しつつ完了できたことは,本研究全体の進展に大きな影響を与える. ここまでで得た空力を利用し,「空力-運動連成計算によるSST降下経路計算と時系列的評価」を実施し,コンコルドなどと比較しても妥当な結果を得られたものと考える.さらに,最終目標である,進化計算に基づく飛行経路・空力制御最適化の実施も完了し,大きな目的である外乱の影響性の斟酌も進めることができている. 成果は国際会議論文として採択されたほか,国内発表も予定している.また,ここで構築した手法は,有翼型宇宙往還機設計にも応用されている.
|
Strategy for Future Research Activity |
補助期間満了と同時に,概ね実施したい項目は消化できたと考えているが,高揚力装置の考慮や,舵角応答の空力精度検証などはもう少し進める必要があり,これらの対外発表も行いたいことから補助期間延長を申請した.2019年度内にこれらを遂行し,査読付き論文などによる公表も目指したい.
|
Causes of Carryover |
年度終盤に実施している外乱の影響検証実施の遅れに伴い,公表する機会を計画し直したため.前年度発表予定であった国際会議から,2019年度開催の国際会議での公表に変更する予定である.
|