2016 Fiscal Year Research-status Report
極短時間イメージング吸収分光法による大気突入機周り流れの非平衡熱化学過程の解明
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16K06890
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山田 剛治 東海大学, 工学部, 講師 (90588831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川添 博光 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40260591)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | Shock wave / Spectroscopy / Nonequilibrium / Rotational temperature / Vibrational temperature / Spectrum fitting / Electronic state |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、衝撃波管観測部に極短時間多点同時分光計測システムを構築して衝撃波背後の発光分光計測により高励起準位のN2分子の内部エネルギー状態について調査した。研究当初に計画していた分光計測システムの絶対強度校正は、本年度購入した常用標準光源の納期が大幅に遅れたために実施することができなかった。そのためタングステンハロゲン光源により相対強度校正を実施した。 電子準位の違いが衝撃波背後の熱的緩和過程にどのような影響を及ぼすのかを明らかにするためにN2の異なる電子遷移スペクトルN2(2+)とN2(1+)を対象に計測を行った。その結果近紫外領域においては、N2(2+)とN2+(1-)からなる分子スペクトルが支配的であり、十分なS/N比の発光スペクトルを取得することができた。しかしながら、N2(1+)に関しては、可視光から近赤外領域において存在することが確認できたものの、発光強度が紫外領域に比べて十分でなくS/N比の良い発光スペクトルを取得することができなかった。そこで今回は、紫外領域で取得したN2(2+)とN2+(1-)からなる分子スペクトルに対して理論スペクトルをマッチングさせることで回転・振動温度を導出した。そして従来の熱化学モデルを用いた数値解析結果と比較した。その結果、発光分光から得られた回転温度は振動温度よりも低く、また両温度とも数値解析結果よりも低くなることが分かった。特に回転温度に関しては衝撃波背後で著しく低い値となることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度購入した常用標準光源の納期が大幅に遅れて3月末になったために、当初計画していた絶対強度校正を本年度中に行うことができなかった。また極短時間多点同時分光計測システムの構築に必要なファイバアレーの納期も12月になったために、試験期間を十分に確保できなかった。以上の要因により当初の計画によりやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度実施できなかった絶対強度校正を実施して回転・振動温度だけでなく化学種の数密度を取得する。また光学系を改良して十分なS/N比のN2(1+)の発光スペクトルを取得する。また極短時間イメージング吸収分光計測システムを構築して吸収スペクトルを取得する。そしてN2の低電子準位の回転・振動温度及び数密度を導出する。これより電子準位の違いによる衝撃波背後の熱的緩和過程を明らかにして、最終年度に熱化学モデルの高精度化に取り組む。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた物品の納期が遅くなり、当該年度中の購入ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定した物品を、年度当初に購入する。
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