2016 Fiscal Year Research-status Report
タグチメソッドによる宇宙構造制御系の異常診断と振動制御に関する研究
Project/Area Number |
16K06893
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
大久保 博志 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (40094502)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 異常診断 / タグチメソッド / マハラノビス距離 / カルマンフィルタ / スマート構造 / 非破壊検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、柔軟宇宙構造の姿勢制御時に発生する残留振動をタグチメソッドを用いて解析し、システムの異常を診断する技術を開発する。また、スマート構造の振動を抑制するために、フィーバック制御とフィードフォワード制御を組み合わせた残留振動を抑制する姿勢制御系についての研究を行うことを目的としている。
平成28年度は、異常時と正常時のデータを用いて異常診断を行うタグチメソッドに着目し、従来から研究している尤度比検定やカルマンフィルタを用いるモデルベースの診断・推定法と比較した。本年度は簡単な構造の数値モデルを用いて異常を模擬することにより数値シミュレーションによる検討を行い、タグチメソッドがモデルベース法と同様に有効であることを示した。今後は実験室モデルを用いた実証試験を行うとともに、タグチメソッドで利用するマハラノビス距離の計算を自動化することなどについてさらに検討したい。
また、平成28年度は柔軟構造をもつ人工衛星などの姿勢変更に伴う残留振動を制御するのに有効な制御法についての研究を行った。Input Shaping法とNME(Nil-Mode-Excitation) 法により設計された入力指令値を用いたフィードフォワード制御を行うことにより、姿勢変更によって励起される振動を抑制する方法について研究した。片持ちはりを実験モデルとして数値シミュレーションによる検証を行った。その結果、Input ShapingとNMEを組み合わせることにより、複数の振動モードに対して有効な振動抑制が可能であることを示した。実験室モデルを用いた実証実験を今後実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タグチメソッドを用いた異常診断法およびカルマンフィルタの推定誤差(残差)に基づくモデルベース診断法について検討し、簡単な構造の数値モデルを用いて異常を模擬することにより、両者の比較検討を行った。 実験室モデルを用いた実証実験については、平成28年度に準備を行う予定であったが、進捗状況から29年度に準備を行い実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、スマート構造の実験室モデルを用いて、タグチメソッドおよびカルマンフィルタ法による診断法の性能試験を行う予定である。 平成29年度にスマート構造モデルを試作し、異常を模擬して上記2つの方法により検出をする実験を行う。また、Input Shaping法とNME法を用いた振動の抑制実験についても実施する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度にスマート構造の実験室モデルを用いた実証実験の準備を行う予定であったが、29年度に順延したため残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に実験用の計測器、消耗品を調達の予定である。
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