2016 Fiscal Year Research-status Report
塗膜厚さの影響を排除する超音波探触子の開発に関する研究
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16K06907
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 正広 九州大学, 工学研究院, 助教 (70173713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 孝男 九州大学, 工学研究院, 教授 (50380572)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 超音波探傷 / 塗膜 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
塗膜上から超音波探傷試験を実施する場合の欠陥の検出性の向上、正確な欠陥性状の評価手法の構築を目的としている。超音波探傷では,主として実験的手法により新しい探触子の開発や探傷精度の検証,探傷精度を高めるための施策などが検討されてきた。この方法では,欠陥が既知の試験体を製作し,それを探傷してデータを取得することを基本とするため,コスト,期間などの問題点があった。そこで実験的手法に代わり数値シミュレーションを用いて欠陥評価手法の構築を行う。 垂直探傷試験を対象として、欠陥の寸法評価法としてデシベルドロップ法を適用することを考え、デシベルドロップ法で必要となる最大エコー高さを求めるために超音波伝播挙動の数値シミュレーションを実施した。数値シミュレーションの精度向上のためには振動子の剛性やダンパーの減衰を適切に設定する必要があるため、塗膜がない場合の超音波探傷試験で得られた探触子の底面反射エコーの受信波形と数値シミュレーションの波形が一致するように探触子のパラメータを決定した。 さらに塗膜がある場合の底面反射エコーの受信波形についても計測と計算が合うように塗膜の物性値をパラメータとして数値計算を行い、塗膜の物性値の同定を行った。 次に塗膜がない場合の内部欠陥からの反射波形を求め、底面反射波とのエコー高さの比を求めた。さらに塗膜がある場合の内部欠陥と底面からの反射エコー高さの比を求めた。塗膜がある場合の内部欠陥と底面からの反射波形の比が塗膜のない場合と反射エコー高さの比を比較したところ両者の比は一致することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
塗膜がない場合、塗膜がある場合の超音波探傷試験の計測波形を数値シミュレーションで再現することが可能となった。これなのシミュレーション結果より塗膜のない場合の内部欠陥と底面からの反射エコー高さの比を求め、次に塗膜がある場合の内部欠陥と底面からの反射エコー高さの比が一致することが判った。塗膜がある場合は欠陥からの反射エコー高さおよび底面からの反射エコー高さの両方に同じ値の塗膜影響が含まれていることになるので、塗膜を除去した場合のエコー高さを求めることが可能となった。 上記の結果は数値シミュレーションだけによるものであり、厚さの異なる塗膜を塗布した人工試験体を作製し、探傷試験を実施して検証する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
厚さの異なる塗膜を塗布した欠陥が内在する人工試験体を作製し,垂直探触子を用いて超音波探傷試験を実施し,探傷データを取得する。取得したデータから,塗膜付き試験体の底面反射エコー高さと塗膜がない試験体の底面エコー高さの関係を求め,デシベルドロップ法を適用して欠陥寸法の推定を行い,数値シミュレーションの結果と比較して推定精度の検証を行う。 また,欠陥位置や欠陥寸法を変えた人工欠陥試験体を多数製作することは不可能なので,数値シミュレーションを用いて欠陥のパラメータ(欠陥位置,寸法等)を変更して計算を行い,提案した手法の有効性を確認する。 また,斜角探傷では垂直探傷より複雑な超音波の干渉が生じる。そこで,塗膜厚さを変化させた解析を行ない,塗膜厚さと縦波および横波の波長の関係によるエコー高さの変化の関係を明らかにする。
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