2016 Fiscal Year Research-status Report
浮体型振り子式波力発電装置の発電効率改善に関する研究
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16K06909
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
村上 天元 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 助教 (90611278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 修一 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 教授 (30404205)
今井 康貴 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 准教授 (90284231)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 海洋工学 / 再生可能エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、浮体型振り子式波力発電装置の二次変換装置として試作した油圧式Power take-offシステムを用いた陸上実験を行い、本油圧システムの基本性能を把握した。ここで試作した油圧式Power take-offシステムは、ACサーボモータ、ラジアルピストンポンプ、油圧ブリッジ回路、アキシャルピストンポンプ、発電機および電気抵抗器で構成される。このシステムは、まず、波を模擬した電圧信号によってACサーボモータが振り子軸を強制回転させて、振り子軸の回転により高圧油がラジアルピストンポンプから油圧ブリッジ回路を経て、アキシャルピストンポンプへと送られる。なお、ラジアルピストンポンプと油圧ブリッジ回路との間の油の流れは振り子軸の正転・逆転に伴って往復流となるが、この往復流は油圧ブリッジ回路で一方向流れとなり、油圧ブリッジ回路から送り出された油がアキシャルピストンポンプおよび発電機を一方向回転させる。本実験の計測項目は、振り子軸トルク、振り子軸回転速度、油圧回路からアキシャルピストンポンプへの油の供給圧力、アキシャルピストンポンプから油圧回路への油の戻り圧力、発電機出力電圧および発電機出力電流である。また、モータへの回転速度指令には規則波を想定した正弦波の電圧信号を用い、この信号の振幅を1V、2V、3V、4V、5Vに変更することにより、振り子軸の回転速度振幅を200rpm、400rpm、600rpm、800rpm、1000rpmの5通りに変更して実験を行った。さらに、電圧信号の周期を6sec.、8sec.、10sec.、12sec.、14sec.に変更して、本油圧システムのエネルギー変換効率に及ぼす波周期および振り子軸回転速度の影響を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
浮体型振り子式波力発電装置の実機に搭載可能な油圧式Power take-offシステムの陸上実験を行い、規則波中運転を想定した油圧システムの基本性能を把握し、概ね所定の二次変換効率の最大値を得ることができた。また、余剰電力を油圧エネルギーとして予めアキュムレータに蓄えて、この油圧エネルギーによって発電電力を平滑化した場合の性能も把握でき、当初の計画どおりに研究は遂行できているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、引き続き、油圧式Power take-offシステムの陸上実験を行い、実海域を想定した不規則波を模擬した入力信号の場合の二次変換効率を明らかにする。また、申請者らが新規に提案して有効性を確かめている渦法による非線形波浪中での浮体運動計算法を本問題に適用して、浮体と振り子の運動の時系列と一次変換性能を評価できる2次元数値シミュレーション手法を開発する。この計算法は、粘性流体を対象として、浮体表面からの渦の発生と拡散を正確に考慮できるため、水室内の流体ダンピングを正確に評価できる。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも安価で計測機器を取りそろえることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降の実験装置改良および成果発表に使用する。
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