2017 Fiscal Year Research-status Report
超大出力パルスパワー装置を用いた特異点状態形成・測定による核融合材料の物性研究
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16K06934
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
菊池 崇志 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (30375521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樫根 健史 鹿児島工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60332110)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 核融合 / 慣性核融合 / Warm Dense Matter / パルスパワー / 高密度プラズマ / 高エネルギー密度科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に構築した実験系により、大強度パルスパワー発生装置を電源とした通電加熱による高密度プラズマ・Warm Dense Matterの生成および今年度に改良を加えた各種計測系による測定を行った。 試料への投入エネルギーの評価のためには、試料部に印加された電圧および電流の時間履歴が必要となる。測定した電圧・電流波形から投入電力を算出し、時間積分することにより、試料へ投入されたエネルギーを見積もっている。本実験系のような高周波・高電圧・大電流の高ノイズ環境下で同期の取れた計測は非常に困難であり、既製品の計測機器だけではなく専用の計測系を設計・製作し、測定を可能にしている。前年度までに使用していた電圧計測系を設計し直し、回路シミュレーションを用いて動作確認し、分圧測定器を製作し直して、従来よりも高電圧の計測に対応できる構成にした。これにより、到達可能な試料のパラメータを拡張することができた。また、電流計測系についても新たにロゴスキーコイルを設計・製作・追加し、コモンモードノイズ対策を考慮したより精度の高い測定系を構築した。 再構築した実験系・計測系を用いて、試料の通電加熱を行い、高密度状態の発生・光学計測を実施した。得られたデータを解析し、試料が目標とする温度以上に達することを確認した。一方で、再構成した実験系・計測系によってより精度良い測定が可能になったため、試料の初期形状によるWarm Dense Matterの生成過程・挙動の違いなど、従来は観測できなかった特異な状況が見られるようになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の実施計画の通り、平成28年度に整備した実験構成により、異なるパラメータの高密度プラズマを生成し計測を実施している。測定データがまだ不十分であるため、引き続き実験作業も進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の実施計画の通り、数値シミュレーションによる解析を行う。一部、すでに数値解析を実施しており、本研究計画の一助になっている。実験で得られた物性データを利用し、より実際に近い数値シミュレーションを行い、現象の理解に寄与する。 試料の様々な温度状態を作り出すために投入するエネルギーを調整する機構として、電子ビームダイオードを用いた投入エネルギー制御法を提案しており、本実験構成に組み込み、実験データ取得作業を実施する。
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Causes of Carryover |
これまでの実験結果を考慮した数値解析により、中空円筒の材質を当初の実施計画で予定していた高価なサファイアなどではなく、安価なアクリルチューブでも実施に支障がないことが分かり、変更したため。 実験実施に必要な冶具や測定に必要な部品の予備を購入する。
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Remarks |
市民大学講師「基礎からの核融合発電」(まちなか大学,まちなかキャンパス長岡)2017年6月14日
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Research Products
(9 results)