2018 Fiscal Year Research-status Report
電子加熱時のイオン及び電子系乱流と輸送特性の相関の実験的検証
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16K06947
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 麻衣子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部, 上席研究員(定常) (20391261)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 熱輸送 / 電子加熱 / 磁気シア |
Outline of Annual Research Achievements |
核融合炉の実現には、いかにエネルギー閉じ込め劣化やプラズマ内の不安定性の発生を回避し、高性能炉心プラズマを生成・維持できるかが要となる。特に、国際トカマク物理活動でも問題となっているのは、多くのトカマク装置で観測されている「電子サイクロトロン加熱時の粒子とエネルギー閉じ込めの劣化」である。これは、アルファ粒子加熱により電子加熱が支配的になるITERや原型炉でのプラズマ輸送・閉じ込め特性の予測と運転領域開発の懸念となっているため、最重要課題として、電子加熱時のプラズマ輸送特性の理解と制御手法の開発が強く求められている。 平成30年度は、昨年度米国のDIII-D装置で取得したデータをもとに、正磁気シアプラズマと負磁気シアプラズマの中間である弱磁気シアプラズマにECHを入射した際の、輸送特性及び閉じ込め性能の変化並びに磁気シアが輸送へ与える影響を調べた。負磁気シアのみならず弱磁気シアでも電子加熱によるエネルギー閉じ込め性能の劣化が抑えられることが分かった。一方で、正磁気シアプラズマでは、ECH入射によるイオン熱輸送の増加が確認された。正磁気シアプラズマでは、ECH入射により電子加熱割合が増加すると閉じ込め改善度が劣化するのに対し、弱磁気シアプラズマでは負磁気シアプラズマと同様に、電子加熱割合が40%から60%に増加しても同程度の閉じ込め改善度を維持していることが分かった。ECH入射中では、磁気シアに対するプラズマ輸送への影響は、磁気シアが零や負になるほど、熱輸送・粒子輸送・運動量輸送共に改善する傾向が見られた。これらは、第一原理シミュレーションによる乱流安定性解析と矛盾しない結果である。今後は、理論モデルとの定量的な比較(熱粒子束の変化の比較)を行う予定である。 10月に米国のGA社に訪問し、本研究結果に関する議論を共著者と行った。本成果をまとめて、第50回アメリカ物理学会プラズマ物理分科会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、電子加熱時のイオン及び電子系乱流と輸送特性の相関をまとめて、アメリカ物理学会プラズマ物理分科会にて報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
理論モデルとの定量的な比較(熱粒子束の変化の比較)を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2018年2月にDIII-D装置において本研究に関する実験を行ったが、研究に必須なプラズマ揺動データについて、研究協力者の解析に遅れが生じており、当初本年度中に執筆予定だった論文作成に遅れが生じた。2019年度に論文を執筆するために使用する。
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Research Products
(6 results)