2017 Fiscal Year Research-status Report
高Sc数乱流物質伝達機構の流れ場スケール依存性解明と配管減肉制御技術実現への挑戦
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16K06952
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江原 真司 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30325485)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 流れ加速型腐食 / 加速減肉実験 / 安息香酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、流れの可視化実験による乱流流れの速度変動計測と、加速減肉実験による減肉量測定を行い、速度変動の周波数特性が減肉量とどのように相関があるのかを評価する。今年度は、加速減肉実験について主に取り組んだ。 当該実験では、安息香酸を減肉壁として円管内壁に鋳込んだ試験部を水流動試験装置に設置し、水の液単相流を所定の速度で所定の時間流すこと(減肉実験)で溶解(減肉)させ、その際の実験前後の安息香酸の厚みの変化を測定し減肉量を評価する。試験部は、上記「減肉実験」以外でも、装置設置後の水を充填している間や、所定の速度にするまでの間、実験後に水を抜いて試験部をはずすまでの間などで減肉することが考えられるため、その評価を詳細に行った。また、減肉量を評価する際の壁厚さ測定では、減肉実験前後での差が大きいほど相対誤差が小さくなり有利となるが、減肉がある値以上進むと、安息香酸表面がひび割れ易くなり測定が困難になることが分かっている。可能な限り減肉量を大きくしつつ、きちんと測定できる減肉量についても検討した。実験における試験部設置から減肉実験までの手順の効率化などを図った結果、レイノルズ数70,000(管径56㎜)において、減肉実験を210秒間実施することで、減肉量の測定誤差を8%程度まで低減することが可能となった。また、測定している管壁厚さの変化が、安息香酸の溶出だけ、つまり機械的な剥離等は生じていないことを確認するために、作動流体を飽和安息香酸水溶液に変えて減肉実験を行った。その際には有意な減肉は計測されなかったため、本減肉実験においては、減肉は管壁からの流動水中への壁物質の溶出であることが確認された。以上により、安息香酸を用いた加速減肉実験の手法を確立することが出来たと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安息香酸を用いた模擬管壁作成が、当初の予想よりも時間がかかってしまった。安息香酸を鋳込む際に、アルミ製丸棒を用いるが、この丸棒を引き離す際に安息香酸が剥がれてしまうことが多々あり、試験部製作に割く時間が増えてしまった。アルミ製丸棒の表面にテフロン薄膜を塗布して解決を図ったが、2,3回の使用ですぐに効果がなくなってしまい、最終的な解決には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
減肉実験について、予想外の時間がかかってしまったが、予定していた内容はほぼ終了した。今後は主として可視化実験に注力し、乱流流れの速度変動の周波数特性と減肉量との相関について検討していく。
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