2016 Fiscal Year Research-status Report
燃料デブリの堆積挙動に関する実験データベースの構築及び解析コードの検証
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16K06960
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
守田 幸路 九州大学, 工学研究院, 教授 (40311849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松元 達也 九州大学, 工学研究院, 助教 (90325514)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 高速炉 / 炉心損傷事故 / 燃料デブリベッド / 崩壊熱除去 / デブリ堆積 / 実験データベース / 混相流解析コード |
Outline of Annual Research Achievements |
原子炉の炉心が損傷する過酷事故では、炉心から流出した燃料等の炉心物質がデブリとなって原子炉構造物上に堆積しデブリベッドを形成する。燃料を含むこのデブリベッドの冷却・臨界特性はその形状に依存することから、デブリ堆積及びベッド形成挙動が事故後長期の崩壊熱除去過程を支配する要因として重要である。本研究では、燃料デブリの堆積及びベッド形成挙動について、解析コードの検証用の実験データベースを構築するとともに、固気液混相熱流動解析コードの妥当性を検証し、実機安全評価手法として整備する。 本研究で実施するデブリ堆積挙動実験では、水を満たした円筒透明容器上部のノズルからデブリを模した固体粒子を落下させ、容器底部に堆積させることで、実験パラメータに依存して変化する粒子ベッドの特性を観察・測定し、解析コードの検証性に優れた実験データが取得できる。平成28年度は、粒子径、密度が異なる粒子を混合した模擬デブリ(アルミナ、ステンレス鋼、ジルコニア)を用い、粒子特性(密度、粒子径、球形度)、放出条件(ノズル径、放出速度、落下高さ)をパラメータとする実験を実施し、堆積粒子の非均質性が粒子ベッドの高さやベッド形状に与える影響について実験的な知見を得た。 さらに、これまで開発を進めてきたデブリベッドの堆積挙動を評価するための固気液混相熱流動解析コードについて、実験データベースに基づいた検証を行うため、大規模計算手法の検討を行った。本コードは、流体計算に格子法(多流体モデル)、デブリ粒子運動の計算に粒子法(個別要素法)を用いる格子ー粒子連成計算法に基づいているが、取り扱う粒子数が増えると粒子法計算の負荷が過度に大きくなり、実用的な計算が困難になる。そこで、粒子数の多い大規模計算のため、メニーコア・コプロセッサ搭載の演算ボードを利用した並列コンピューティングによる計算効率向上を図るためのコード整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り模擬デブリに混合粒子を用いたデブリ堆積挙動実験を実施し、解析コードの検証性に優れた実験条件下でのデブリ堆積・ベッド形成挙動について基礎的な実験データを得た。また、デブリベッドの運動挙動を評価するための固気液混相熱流動解析コードについて、本研究で整備する実験データベースに基づいた検証解析を実施する上で必要となる大規模計算時の計算効率向上を図るためのコード整備について検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで研究代表者らは、主として均質粒子を用いたデブリ堆積挙動実験で測定された粒子ベッドの高さを次元解析によって相関する実験式を検討してきた。今後、平成28年度に新たに取得した非均質性(混合粒子)の影響を考慮した広範な条件下での実験データを含めた実験相関式として整備する。さらに、実験データ及び実験相関式に基づいて、実機条件下での燃料デブリの堆積及びベッド形成挙動について検討する。また、デブリベッドの運動挙動を評価するための固気液混相熱流動解析コードについて、本研究で整備する実験データベースに基づいた総合的な検証を行う。これにより解析コードの実機条件への適用性向上を図る。
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