2016 Fiscal Year Research-status Report
蛍石型酸化物中のイオントラック原子構造とその重畳に伴う微細組織発達
Project/Area Number |
16K06961
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安田 和弘 九州大学, 工学研究院, 准教授 (80253491)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酸化物セラミックス / 核燃料・核変換処理材料 / 照射損傷 / イオントラック / 電子顕微鏡 / 小角X線散乱法 / カソードルミネッセンス |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化物セラミックスは次世代不活性燃料や放射性廃棄物/核変換処理材料の母相として期待されているが、核分裂片による高密度電子励起損傷は燃材料中にイオントラックと呼ばれる柱状欠陥を誘起し,微細構造を著しく劣化させる。本研究では、蛍石型構造酸化物の安定化ジルコニアやセリア、および耐照射損傷性酸化物のマグネシア・アルミネート・スピネル中のイオントラック構造を先進電子顕微鏡法、小角X線散乱法およびラマン分光法による相補的な研究手法により追求し、さらに,電子励起損傷の重畳に伴って発達する微細組織の形成機構を明らかにすることを目的としている。
(1)17~37 keV/nmの範囲で電子的阻止値を変化させた高速重イオンをCeO2に照射し、セリア中のイオントラック構造とその蓄積過程をTEMおよびSTEM法により詳細に調べた。この電子的阻止能値では、セリア中にイオントラックが形成され、コア領域の原子密度は低下していることが分かった。蓄積過程をモデル化し、コア領域および影響領域のサイズが電子的阻止能値に依存することを明らかにした。また、立方晶安定化ジルコニアのイオントラック構造の観察ならびに蓄積過程を調べ、セリアの結果と比較した。立方晶安定化ジルコニアでは、イオントラック形成効率および影響領域サイズのいずれもセリアよりも小さいことを明らかにした。 (2)電子照射しながらカソードルミネッセンスを「その場」測定し、アルミナおよびイットリア安定ジルコニア中の酸素欠陥蓄積過程を調べる方法を確立した。 (3)小角X線散乱法をセリアおよびマグネシア・アルミネート・スピネルに適用し、散乱プロファイルを解析した。評価したイオントラックのサイズはTEM法により評価したコア領域よりも大きく、電子顕微鏡法では検出できない格子間原子を含む領域であることを示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に行った研究を継続して遂行する。特に、安定ジルコニア中のイオントラックの蓄積過程を詳細に調べ、セリアとの相違を明らかにするとともに、その物理的理由を考察する。TEM法、小角X線散乱法、ラマン分光法によるトラックサイズの比較を進め、トラックサイズが何を反映したものかを調べていく。
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Research Products
(18 results)