2016 Fiscal Year Research-status Report
出力変動型電源の本格的大量導入に向けた地中送電ケーブルの導体温度型送電容量評価
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16K06971
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉原 英治 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (10359854)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地中送電ケーブル / 送電容量 / 導体温度 / 熱等価回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,風力発電や大規模太陽光発電等の出力変動型再生可能エネルギー電源の大量連系が見込まれており,地域供給系統レベルでの送電容量制約の問題が懸念されている.一般に電線・ケーブルの定格電流(常時許容電流)は,通電電流として一定値(定常状態)を仮定した上で,電線・ケーブル本体の導体温度上限に基づき決められている.将来的に,再生可能エネルギーの大量連系に伴い通電電流が短時間で大きく変化する状況を想定すると,これまで以上に導体温度を評価することが重要であり,本研究課題ではそのような新しい環境下におけるケーブル導体温度に基づく送電容量評価手法の開発を目的としている. 本年度は,地中送電ケーブルの導体温度評価に関する基礎検討として,154kV単心CVケーブルを想定し,ケーブル劣化に重要な導体温度を評価するための熱等価回路モデルに関する検討を行った.具体的には,導体温度を高精度に推定するため,絶縁体の分割層数に着目し,カウア型多段等価回路モデルに基づき解析を行った.その結果,絶縁体の分割層数を増やすことで導体温度の推定精度は向上していく傾向にあるものの,絶縁体を二つに分割した場合において改善効果はほぼ飽和していることを定量的に確認した.さらに,将来的に再生可能エネルギー電源の出力変動を想定することを視野に入れて,正弦波状の通電電流変化を想定し,送電ケーブルに10分~120分周期の電流変化を与えて評価を行ったところ,ほぼ同様の結果になることを定量的に明らかにした.さらに,ケーブル内の絶縁体以外の部分についても等価回路分割の必要性について検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケーブル本体に関する熱等価回路モデルに関する基礎的検討はほぼ完了し,様々な通電電流変化に対応可能な導体温度シミュレーションプログラムも開発した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に開発したケーブル本体の熱等価回路モデルに加えて,今後は,具体的な敷設方式として管路方式や直埋設方式等を想定し,ケーブル導体温度のシミュレーション評価を行う予定である.
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Causes of Carryover |
ヒアリング等の調査旅費については,文献調査・購入で必要な情報が得られたため,今年度は実施しなかった.研究成果発表の旅費については,平成29年度6月に発表予定のため,平成28年度経費としては執行しなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は,前年度の研究成果に基づき,さらに導体温度評価モデルを拡張し,複数の国際・国内学会等で研究成果発表を実施する予定である.
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