2016 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学を応用した新しい人工暗点モデルサルの作成と知覚的充填の神経機構の解明
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16K06983
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
木下 正治 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (60599083)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光遺伝学 / マカクザル / 知覚的充填 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では光遺伝学をマカクザルの脳研究に応用し,特に標的とする神経細胞の活動だけを選択的に抑制することで,神経経路選択的な活動制御をミリ秒オーダーで行うことを目的の1つとしている。そのため初年度に当たる平成28年度には,本研究分野の進捗に伴い,光照射により神経活動を抑制するためのオプシン遺伝子として当初予定していた水素イオンポンプであるJaws遺伝子の他に,塩素イオンチャネルであるiChloCなどについても検討を行い,標的神経細胞の効率的な活動制御についての検討を重ね,当面は当初予定の通りにJaws遺伝子を用いた実験を先行させることとした。 また本研究のもう一つの目的,背景として,欠落した情報を脳が補完する現象の代表例の一つと考えられる視覚における知覚的充填の神経機構の解明を目指している。本研究計画のより具体的な目的としては,生得的に視覚情報の入力が欠落している盲点における知覚的充填が,生得的な盲点に特異的な機構であるのか,それとも盲点以外の通常の視野においても盲点と同様な知覚的充填が生じるのかを明らかにするために,光遺伝学の手法をマカクザルの脳に適用し,可逆的,人工的な盲点(人工暗点)作成し,盲点対応部位以外の知覚的充填現象について明らかにすることを目指している。そのために初年度である平成28年度にはサルの知覚において知覚的充填が起きているのか否かを判別するためにの行動課題をサルに行わせるための準備としての基礎的な訓練を行うとともに,より精緻な視覚刺激の呈示と行動課題をおこなう実験システムの再整備を行った。実験システムの再整備に当初予定よりも時間を要したため,サルの行動課題訓練にやや遅れが生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験システムの改善を含めたサルの課題訓練に当初予想よりも時間を要したため,計画実施にはやや遅れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
計画実施にはやや遅れがあるが,基本的に当初計画に沿って実験を推進する予定である。さらに新しい光感受性膜タンパク質の導入を検討し,実験の更なる発展についても検討する。
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Causes of Carryover |
実験動物への課題訓練に当初予定より遅れが生じ,実験計画の遅れが生じたため,実験に使用する物品の購入にはいたらず,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的に当初計画に沿って実験を行うが,可能な限り実施を迅速に行い遅れを取り戻しつつ研究を推進する。そのため,次年度使用額についても基本的に当初計画に沿って必要な物品の購入等に充てる。
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