2017 Fiscal Year Research-status Report
総腓骨神経を欠損する突然変異マウスの原因遺伝子の解明
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16K06987
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桝 和子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50344883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝 正幸 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20243032)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マウス / 神経軸索 / ゲノム / 次世代シークエンス / 突然変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で対象としているperoneal muscular atrophy (pma)マウスは、自然発生の突然変異マウスであり、先天的に腓骨神経が欠損するため腓骨筋が萎縮し、内反尖足を示す。研究代表者のこれまでの研究により、脊髄運動神経が下肢に投射する胎児期から総腓骨神経が欠損していることが分かっているが、原因は不明である。本研究では、pmaマウスの遺伝子異常を明らかにし、発症の分子機序を明らかにすることを目的としている。これまでに連鎖解析を行い、原因となる遺伝子が存在する領域を同定している。前年度、次世代シークエンスを用いて胎生13.5日pmaマウスのRNA-seqを行ったところ、候補領域内の遺伝子発現に異常が見られた。得られたデータを注意深く解析し、以前に行ったゲノム解析結果と照らし合わせたところ、候補領域内のある遺伝子のイントロンに9kbの挿入配列があることが分かった。今年度、in situハイブリダイゼーション法とRT-PCRを用いて当該遺伝子の発現を調べたところ、pmaマウスで遺伝子発現の低下が見られ、挿入配列の転写が起こっていることが分かった。そこで、この異常配列の挿入が原因となっている可能性を考え、CRISPR/Cas9法を用いて異常配列を除去し表現型が消失するかどうかを検討することとした。新学術領域研究「先端技術基盤支援プログラム」の「先端モデル動物支援プラットフォーム」に採択され、目的とする遺伝子編集マウスの一部を作製することができたので、今後そのマウスのラインを確立し、それらを用いてpmaマウスの原因について解析を進める計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に実施した次世代シークエンス解析で見つけた異常な挿入配列が転写されていることを見出した。さらに、ゲノム編集技術を用いて異常配列を除去したマウスを作製することに成功し、原因同定に向けて大きく進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム編集技術を用いて異常配列を除去したマウスの表現型の有無、胎児期の腓骨神経形成を調べる。また、元来挿入があった遺伝子を含み野生型/ヘテロマウスとの間に発現量の差がみられた遺伝子の発現回復がみられるかをRT-PCR並びにRNA-seqを用いて検証する。さらに異常な配列の挿入のために遺伝子発現が低下したことが原因であるのか、異常配列の発現が原因であるのかを区別するため、異常挿入を受けた遺伝子を破壊したマウスを作製し、その解析を行う。
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