2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K06993
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢和多 智 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90455246)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞内シグナル / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞は、その応答性を変化させること(可塑性)で記憶や学習を行っている。可塑性は個々の神経細胞において、細胞外からの信号が情報処理され、細胞内シグナル分子を介し、特定の遺伝子発現が調整されることで引き起こされると考えられている。近年、細胞内シグナル活性の変化を計測することが可能な蛍光プローブが開発され、これらを用いることで記憶や学習が行われているとき、神経細胞の中でどのような変化が起こっているのかを計測することが可能になった。しかし、現在確立している技術では、観察できるのは脳表近傍組織に限られ、また動物の行動も制限される。高次脳機能を司る神経核は、大脳基底核を始めとし多くが深部に存在し、また認知課題など複雑な課題は自由行動下である必要がある。本申請課題では、自由行動下動物の脳深部から細胞内シグナル活性を測定するための技術を確立し、高次脳機能に関わる可塑性の解明を行う。 当該年度において、光学系の最適化を行い計測精度の向上を達成した。その結果、自由行動中動物からの、神経活動と細胞内シグナル活性の測定が可能になった。また、オペラント課題中(タッチパネルを用いた視覚弁別課題およびその逆転学習課題)マウスからの計測が可能になった。線条体出力細胞である中型有棘細胞には、その投射先と遺伝子発現パターンから大きく分けて2種類の細胞が存在していることが知られている。本研究課題ではドーパミン1型受容体またはアデノシンA2a受容体発現細胞選択的な遺伝子発現を行うことで、これらの神経細胞種を弁別して計測が行えており、それぞれの細胞が担う情報を解析することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、当該年度において、光学系の最適化が完了し、自由行動中動物からの神経活動と細胞内シグナルの同時計測が可能になった。 この計測系を用いて、オペラント課題遂行中動物からの計測も開始できている。
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Strategy for Future Research Activity |
認知行動課題を実施中の動物個体から、神経活動(Ca2+イメージング)と可塑性分子のシグナル動態(FRETイメージング)を同時に計測することで、「どの神経細胞にどのタイミングで可塑性関連シグナルが誘導され、どのように神経情報が書き換えられていくか」の解析を行う。
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Causes of Carryover |
作製した遺伝子組み換え動物による研究を推進するため、これらの動物に掛かる維持費用および、これら動物の計測に掛かる消耗品の必要性が生じたため。
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