2016 Fiscal Year Research-status Report
Integration of sound and self-motion in human auditory cortex
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16K06994
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
Altmann C 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20572051)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知科学 / 神経科学 / 実験系心理学 / 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は自分の身体を動かしている時でさえ、運動する音源を空間内において正確に追うことができる。これには音源の情報と体勢、および遠心性の運動信号を統合することが必要である。本研究は、このような情報統合処理の脳内機構を明らかにし、脳がどのように外界を安定して表現しているかについての重要な示唆を得るためのプロジェクトである。本研究では、心理実験と脳波(EEG)を用いて、両耳間の時間差や音量差手がかりに依存するmotion-onset response(MOR)の特性を検討した。 我々が以前行った脳波研究では、これらの手がかりは、少なくとも部分的には、聴覚皮質のミスマッチ陰性電位(MMN)において独立して処理されることを示した。MORは高次の空間処理を表現している可能性があるが、この点でMMNとMORが異なるものであるかどうかに着目した。これを明らかにするため、聴覚刺激の両耳間時間差や音量差を、音源の左右運動や静止を知覚させるように操作した。静止音源の条件では、時間差や音量差はカウンタバランスされた。その結果、MORはMMNと同様に両耳時間差と音量差を独立に表現していることが示された。 次の計画では、音源の運動を被験者自身が起こした場合に、脳波によって計測するMORが減衰するかどうかを検討した。先行研究から、自らが作った音に対する聴覚関連電位N1が小さくなることが知られている。この減衰は、自らの行動と外界の出来事とを区別する心理的な予測メカニズムに基づくことが示唆されている。本研究ではMORが同様に心理的な予測を表現して減衰するかどうかを検討した。聴覚刺激として、両耳間の時間差と音量差によって音源位置の変化を表すものを用いた。聴力に問題のない健常者に、イヤフォンを用いて聴覚刺激を呈示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、脳波(EEG)および心理実験を用いて、自己運動と物体運動の情報統合に関する実験およびデータの分析を行った。また、同研究テーマにおけるドイツボーフム大学との共同研究を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、MORがどのように音空間における頭部中心座標と外界中心座標を表現するかを検討する。頭を回転させている間、スピーカーから発される音は、a)被験者の運動に追従するか、または b)被験者の運動に関係なく元の位置にとどまる。MORが外界中心の座標で音源運動を表現するならば、MORは条件aにおいてのみ大きくなり、頭中心の座標ならばその逆になると予想される。本研究は、Cognitive Psychology Department of the Ruhr-University Bochumとの共同研究を計画している。
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Causes of Carryover |
論文掲載料としての使用を計画していたが、次年度の投稿となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該論文はすでに投稿済みである。
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Research Products
(3 results)