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2018 Fiscal Year Research-status Report

大脳皮質層形成における Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の役割の解明

Research Project

Project/Area Number 16K07000
Research InstitutionWakayama Medical University

Principal Investigator

片山 圭一  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20391914)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywords大脳皮質神経細胞 / Rhoファミリー低分子量Gタンパク質 / 神経細胞移動 / 神経細胞死
Outline of Annual Research Achievements

平成30年度には、RhoAの神経細胞移動についての役割に関する検索を重点的に行った。しかしながら、Rac1とCdc42の場合と同様に、RhoAのfloxマウスに子宮内胎児脳電気穿孔法を用いてCre遺伝子を導入してRhoAを欠損させても、神経細胞の移動に大きな異常は認められなかった。
また、平成29年度にRac1とRac3を大脳皮質および海馬の神経細胞で共に欠損させると、マウスはほぼ正常に産まれてくるものの、生後直ぐに大脳皮質の神経細胞がアポトーシスによって死に始めることを発見した。平成30年度はRacの欠損によって引き起こされる神経細胞死の分子メカニズムを解明するため、大脳皮質神経細胞のRNAシークエンス解析を行った。Racを欠損した大脳皮質神経細胞ではNtf3, Nrtn, Egr3などの神経成長因子の発現が減少していた。また、AP-1複合体を構成するFosとJunや、pro-apoptoticなBcl-2ファミリーメンバーであるBcl2a1bおよびHrkの発現が増加していた。FosとJunの発現を活性化すると考えられている、Mapキナーゼに関する検索を行ったところ、リン酸化ErkについてはコントロールとRacノックアウトマウスで大きな違いはなかったが、リン酸化p38はRacノックアウトマウスで減少し、リン酸化Jnkは軽度に増加していた。以上の結果から、Rac1とRac3が共に欠損することで、Jnkがリン酸化され、それによってFosとJunの発現が増加し、AP-1複合体を形成してpro-apoptoticなBcl-2ファミリーメンバー(Bcl2a1b, Hrk)の発現を活性化して、神経細胞にアポトーシスを誘発する可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

現在までに、子宮内胎児脳電気穿孔法を用いてfloxマウスにCre遺伝子を導入してRac1、Cdc42およびRhoAを欠損させても神経細胞の移動に大きな異常が認められないことを確認している。Rac1についてはそのホモログであるRac3のノックアウトのバックグラウンドで欠損させても神経細胞の移動に大きな異常が認められないことも確認している。Rhoファミリー低分子量Gタンパク質は神経細胞の移動に重要な役割を果たしていると考えられてきたが、我々の研究によりこれまでの認識が間違っている可能性が示唆されており、ここに本研究課題の大きな成果がある。平成30年度は子宮内胎児脳電気穿孔法でRhoファミリー低分子量Gタンパク質を欠損させた際に、タンパク質としての機能を欠損するのはいつからなのかを確定させるために、Cre遺伝子を導入した細胞をセルソーターで回収し、タンパク質を抽出してウェスタンブロット解析を行うつもりであったが、共通機器のセルソーターが故障してしまったために、実験を行うことが出来なかった。そのため、当初の実験計画に遅れが生じている。しかしながら、Rac1およびRac3を大脳皮質神経細胞でノックアウトさせると神経細胞が生後間もなくアポトーシスによって死んでいくということも発見した。これはRacが神経細胞の生存に必要であることを示唆する研究結果であり、本来予期してはいなかったものの、当該研究分野のブレークスルーに繋がる、大変有意義な発見をすることができたと言える。

Strategy for Future Research Activity

平成30年度は共通機器のセルソーターが故障してしまったために実施することが出来なかったが、新しいセルソーターが導入されたので、子宮内胎児脳電気穿孔法でCre遺伝子を導入した細胞を回収し、そこからタンパク質を抽出してウェスタンブロット解析を行う。経時的にタンパク質の定量を行うことで、子宮内胎児脳電気穿孔法でRac1等を欠損させた際に、タンパク質としての機能を欠損するのはいつからなのかを確定させることができ、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の神経細胞移動への関与をはっきりさせることが出来ると期待される。
さらに、平成30年度にはRac1とRac3が欠損した大脳皮質神経細胞で発現の変化する遺伝子をRNAシークエンス解析でピックアップすることが出来たので、各々の遺伝子が神経細胞の細胞死にどのように関与しているのかを明らかにする。また、神経細胞死を防ぐ方策についても検討を行う。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由は研究資金を効率的に使用した結果である。
研究資金は研究計画の遂行および成果発表に使用させて頂く予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2018 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] Cincinnati Children's Hospital(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      Cincinnati Children's Hospital
  • [Presentation] Rac1は大脳皮質神経細胞の生存に必要である2018

    • Author(s)
      片山圭一、Yi Zheng
    • Organizer
      第41回日本神経科学会
  • [Presentation] Rac is required for the survival of cortical neurons2018

    • Author(s)
      Kei-ichi Katayama, Yi Zheng
    • Organizer
      Neuroscience 2018
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2019-12-27  

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