2016 Fiscal Year Research-status Report
オプトジェネティクスを用いた新生児ラット呼吸中枢の解析
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16K07003
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
鬼丸 洋 昭和大学, 医学部, 客員教授 (30177258)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Phox2b / 呼吸リズム / トランスジェニックラット / オプトジェネティクス / アーキロドプシン / チャネルロドプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
Phox2bのエンハンサー・プロモーター制御下にアーキロドプシン-GFPの発現が確認された新生児ラットから,脳幹-脊髄を摘出し,第4頸髄前根 (C4) から吸息性神経活動を記録する.ホールセルパッチクランプ法により傍顔面核呼吸ニューロングループ(pFRG)に相当する吻側腹外側延髄の呼吸性ニューロンの膜電位を記録し,緑色レーザー光を同エリアに一定時間照射した.30秒から1分のレーザー光照射を行うと,その間呼吸リズムは抑制された.ただし,30秒を過ぎるころからやや呼吸リズムの回復が見られた.前吸息性(Pre-I)ニューロンでは膜の過分極が引き起こされた.吸息性ニューロン,呼息性ニューロンでは膜の過分極は見られなかった.実験終了後に,免疫組織化学的解析を行い,記録したPre-IニューロンがGFP(すなわちアーキロドプシン)及びPhox2bを発現していることを確認した. Phox2bのエンハンサー・プロモーター制御下に,チャネルロドプシン2を発現する新生仔ラットから脳幹・脊髄標本を摘出し,C4吸息性活動及びpFRG/Pre-Iニューロン活動を記録した.青色LED光をpFRGに照射すると,呼吸リズムの促進が引き起こされた.またこの時Pre-Iニューロンの膜の脱分極とバースト頻度の増加が観察された.免疫組織化学的解析を行い,記録した細胞がGFP(すなわちチャネルロドプシン2)及びPhox2bを発現していることを確認した. さらに,pFRGへの光刺激によって呼吸リズムがリセットされることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アーキロドプシン,チャネルロドプシン発現ラットの解析は,おおむね予定通り進んでいる.ただ,Phox2b_tTA-2A-Cre Rec BAC トランスジェニックラットの系統維持にやや問題が出ている.この系統は,出産数が少なく,奇形も出やすいようである.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,チャネルロドプシン発現ラットについてさらに詳細に解析を進める.特に,Phox2b 陰性のニューロンの中に,光照射によって脱分極を引き起こすものも存在するという予備実験の結果を得ている.この脱分極が,シナプス入力によるものであるのかどうかを,TTX,低カルシウム/高マグネシウム溶液などで調べる.つまり,呼吸中枢ニューロンネットワーク内において,それぞれのニューロンの特性がいくつかに分かれる可能性があるので,これを検証していく.
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Causes of Carryover |
3月末の浜松での生理学会旅費などが含まれていないため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
支払い可能になったら,速やかに清算する予定である.
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Research Products
(11 results)