2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K07027
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 清司 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 教授 (30243124)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / 多発性硬化症 / 脳炎症 / ミクリグリア |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、脳室周囲器官における神経幹細胞が、脱髄モデルマウスにおいて新しいグリア細胞の供給に関与することを明らかにした。また、クログリアによる神経幹細胞の増殖や分化制御を受けていること並びに神経幹細胞本来の機能に加え脳の炎症反応に関与することも明らかにした。 多発性硬化症マウスを用いて延髄の最後野における神経幹細胞の役割を調べた。多発性硬化症の発症は延髄における脱髄を引きおこすが、最後野からの新しオリゴデンドロサイトとアストロサイトの供給を促進した。また、多発性硬化の発症はオリゴ前駆細胞などの増殖を促進するが、神経幹細胞の増殖には影響を与えなかった。 脳室周囲器官における、神経幹細胞はグラム陰性菌由来のLPSに対する受容体TLR4を発現していることを明らかにした。また、LPS投与をすると脳室周囲器官の神経幹細胞にNF-kBシグナリングを引き起こすだけでなく、脳室周囲器官周辺の体温調節部位の神経細胞にFOS発現を誘導し活性化した。TLR4機能を阻害すると、LPSにより誘発された発熱が促進された。このことは、脳のTLR4が感染により引き起こされる発熱に対して負の制御機構を有していることが明らかになった。 ミクログリアは、神経幹細胞の増殖やプール数調節に関与することが知られている。脳室周囲器官における、ミクログリアの特徴を調べたところ、その形態やM1とM2抗原発現より正常時においても活性化状態にあることが分かった。活性化状態にあるミクログリアは神経幹細胞と非常に密接な位置的ニッチェにあり、脳室周囲器官にあるミクログリアが神経幹細胞の増殖や分化に関与することが示唆された。さらに、LPSを投与すると脳室周囲器官のミクログリアは顕著に増殖し著しい密度増加が引きこされることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該研究期間内に5報の国際科学雑誌に論文を掲載することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
脳室周囲器官の神経幹細胞には、アストロサイト様とタニサイト様の2種類が存在している。しかし、タニサイト様神経幹細胞についてはよくわかっていない。そこで、タニサイト様の神経幹細胞に焦点を絞り、アストロサイト様のものとの違いを明確にする。
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