2016 Fiscal Year Research-status Report
中脳ドパミン神経の活動様式と精神疾患関連社会性行動障害との関係
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16K07052
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
外山 英和 新潟大学, 脳研究所, 特任助教 (40377198)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DREADD / 腹側被蓋野 / ドパミン神経 / 社会性行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請書に記載したように腹側被蓋野(VTA)におけるドパミン神経の慢性的な持続活動の亢進が社会性行動を低下させることが予想された。そこで人為的にVTAドパミン神経の持続活動を亢進させたときの社会性行動への影響を調べることを計画した。この人為的な神経活動の亢進をおこなうため、DREADDという方法を行うことを考えた。この方法はCre recombinase を発現している神経細胞特異的に人工リガンドに応答する受容体(DREADD)を発現させて、外から人工リガンドを与えたときにDREADDを発現している神経細胞の活動を制御する方法である。平成28年度ではVTAドパミン神経にDREADDを発現させる実験を行った。チロシン水酸化酵素(TH)プロモーター制御下でCreを発現するtransgenic ratのVTAにDREADD(今回は人工リガンドである酸化クロザピンにより神経細胞を興奮させるM3Dqという受容体)をコードしたAAV5ウイルスを感染させて、M3DqをVTAドパミン神経に特異的に発現させた。発現効率はTH陽性細胞(ドパミン神経)の40%に発現していることが認められた。この発現効率は既報のデータより若干低い値であった。現在DREADDを発現させたラットに酸化クロザピンを投与した時の社会性行動への景況を解析しているところである。酸化クロザピンによってVTAドパミン神経の活動が亢進していることの確認は、VTAドパミン神経の投射先である前頭皮質でのドパミン放出をマイクロダイアリシス法によって確認することで行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人工リガンドの酸化クロザピンがDREADDを発現していない動物に影響を与えるかなどの確認を行うために行動実験を繰り返したこと。また実験を始めた当初、DREADDの発現効率が非常に低かったためDREADDをコードしているAAV5ウイルスの感染条件などの検討を行うのに時間がかかってしまった。また、行動実験を行うのにオスのtransgenic ratしか用いない予定であったので、ラットの繁殖が効率よくいかなかったことが遅れの原因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
ドパミン神経の過剰な過活動を示すマウスが、神経終末でのドパミン放出の低下を示すことが他の実験系で観察された。この結果から、神経活動が高くなりすぎると、神経終末でネガティブフィードバックがかかり伝達物質が低下することが考えられた。そこで、DREADDによって慢性的にドパミン伝達を亢進させることが一つの課題であると考えた。一つはドパミン神経の活動が上がりすぎないように酸化クロザピンの脳脊髄液内の濃度をモニターし適切な条件を検討することが方策であると考えられる。
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Causes of Carryover |
予備実験に時間がかかり実験の進行状況がお遅れたため、物品等の購入をあまり行わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画した実験で用いるヴィヴラトームが故障したため、この装置を新たな備品として購入するのに使用することを計画している。
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