2016 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病におけるオリゴデンドロサイトの関与の解明と治療応用
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16K07056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
眞木 崇州 京都大学, 医学研究科, 助教 (70762334)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / オリゴデンドロサイト / オリゴデンドロサイト前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アルツハイマー病(AD)において、オリゴデンドロサイトとその前駆細胞が、どのように神経系、グリア系、血管系を含めた周囲の細胞と相互作用し、病態に関与しているのかを明らかにし、ADに対する治療応用へと展開する研究基盤を確立することが目的である。平成28年度において、初代培養系を用いた実験により、①オリゴデンドロサイトとその前駆細胞がAPP、BACE1、PS1などのA β分泌に関わる主要因子をタンパク、mRNAレベルで発現しており、A β40、Aβ 42をともに分泌していること、γセクレターゼ阻害薬によりA β分泌が抑制されることを確認した。②また、A βオリゴマー負荷がオリゴデンドロサイト前駆細胞や血管周皮細胞に対して濃度依存性に細胞障害や機能・形質変化を引き起こし、神経細胞や血管内皮細胞などの周囲の細胞種に対して、種々の影響を与えうることを見出した。さらに③ADモデルマウスにおいて、オリゴデンドロサイトや血管周皮細胞の形態異常と血液脳関門障害がみられることを確認した。ADとオリゴデンドロサイトの関連については、ADマウスモデルにおいてA β沈着が始まる前にオリゴデンドロサイトの減少や機能障害がみられる、AD患者において早期からミエリンの異常がみられるなどの報告はあるが、詳細は不明な点が多く残されている。本研究によりこれらの点を明らかにすることによりADに対する新規治療アプローチへ発展させていくことを目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画どおり、平成28年度はin vitro、in vivo実験を行い、上述のような基礎データが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に得られた結果をもとに、今後は以下の項目に取り組むことを計画している。 ①培養実験系において、オリゴデンドロサイトとその前駆細胞によるAβ分泌様式・代謝経路とその修飾因子、オリゴデンドロサイト由来Aβの役割を明らかにする。②Aβオリゴマーを負荷されたオリゴデンドロサイトとその前駆細胞が周囲の細胞種に与える影響を詳細に検討する。③ADモデルマウスにおいて、オリゴデンドロサイト/白質障害モデルによる影響を解析する。④ADモデルマウスにおいて、オリゴデンドロサイト前駆細胞欠損モデルによる影響を解析する。⑤ADモデルマウスに対するオリゴデンドロサイト前駆細胞移植による治療効果や至適条件を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度末に抗体や試薬の発注を予定していたが、既存の抗体や試薬が十分であり、発注の必要がなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の抗体や試薬の発注に使用する予定である。
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