2016 Fiscal Year Research-status Report
新規脳キナーゼLMTK1の生理機能と神経病理に関する先駆的な研究
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16K07060
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
久永 眞市 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (20181092)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | タンパク質 / 酵素 / 神経科学 / 神経突起 / LMTK1 / Cdk5 / Rab / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Lemur kinase 1 (LMTK1)は哺乳動物脳で高発現する新規キナーゼである。やはり脳で機能するキナーゼCdk5に結合するタンパク質として単離された。長らく機能不明であったが、最近、LMTK1活性の低下(ノックアウト、ノックダウン、不活性型の発現など)が軸索や樹状突起の過形成を引き起こすことから、軸索や樹状突起の伸長をネガティブに制御していることを明らかにした。本研究では、LMTK1の新規機能として、スパイン形成における役割を検討した。スパインの形成や形態に対する影響は培養神経細胞と胎児脳を用いて調べた。培養神経細胞でスパイン形成を観察するには軸索や樹状突起形成よりもより長い培養日数を要する。培養14日目以降でLMTK1をノックダウンしたり、不活性型LMTK1を発現させ、その影響を調べた。その結果、LMTK1活性を抑えるとスパインの大きさ、密度が増加することを見つけた。子宮内穿孔法を用いて、マウス胎児脳におけるLMTK1をノックダウンし、分化後の神経細胞を観察したところ、形成されたスパインが減少していた。以上のことからLMTK1はスパイン形成にもネガティブに働くことが明らかとなった。LMTK1はRab11活性を制御している。Rab11活性に関与する因子としてGrabを見つけた。Grabは小胞輸送を制御するRab11のエフェクターであり、Rab8の活性化因子である。Grabの軸索伸長に対する影響を調べたところ、Grabも軸索伸長調節の一つであり、その活性はCdk5によるリン酸化で制御されていることを見つけた。Cdk5はLMTK1とGrabのリン酸化を介して、Rab11の上流と下流の両方で軸索伸長を制御することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LMTK1は新規の脳キナーゼであり、その機能ばかりでなく、基礎的な情報も不足している。LMTK1のマウス脳における発現をRT-PCR法、ウェスタンブロット法とin situ hybridization法により検討し、ほどんどの神経細胞と一部のグリア細胞に発現していること、発現は加齢に伴い上昇することなどを明らかにした。また、 LMTK1には AとBの二つのアイソフォームがあるが、それらを別々に検出できるプライマーを作成して定量的PCRを行なったところ、マウス脳内では LMTK1Aと LMTK1Bがほぼ同じ割合で発現していることが判った。また、LMTK1ノックアウトマウスを用いて、脳の形態に対する影響を調べた。光学顕微鏡レベルでは大きな異常は観察されなかった。電子顕微鏡で小脳プルキンエ細胞のシナプス部位を観察したところ、プレスナプス領域が増大している傾向が見られた。LMTK1及び関連因子の細胞内小胞輸送における役割についても検討した。特にLMTK1の新規機能として、樹状突起のスパイン形成に注目して実験を行なった。その結果、LMTK1はRab11活性を阻害的に制御することにより、スパインの密度と大きさを適切に保つように働いていることが判明した。更に、関連因子であるGrabの解析も行い、Grabは軸索伸長を制御していること、及び、その活性はCdk5によるリン酸化で調節されていることも明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究から、LMTK1にはBというアイソフォームがAと同程度マウス脳内では発現していることが判明した。これまでの研究の殆どはLMTK1Aで行われており、今後はLMTK1Bについても調べていく必要があることが解った。LMTK1AとLMTK1Bの違いは膜貫通領域がある(LMTK1B)かない(LMTK1A)かの違いである。即ち、両者の違いは結合している細胞内小器官にある可能性が高く、今後はLMTK1Bの小胞輸送における役割についても検討をしていく予定である。両者の機能的相違については軸索伸長、樹状突起形成、スパイン密度など既にLMTK1Aで見つかった現象を対象として、LMTK1B活性を選択的に阻害した時の影響を調べる。また、LMTK1は前頭側頭葉型認知症のリスクファクターである。代表的な認知症であるアルツハイマー病ではアミロイド前駆体タンパク質(APP)がベータ切断、ガンマ切断によりアミロイドベータが生成さあれることが発症の原因とされている。LMTK1はアミロイドベータ産生に関わるBACE1という分解酵素と共局在を示すことを見つけている。BACE1の局在制御を介して認知症に関連する可能性について培養神経細胞を用いて検討していく。LMTK1の軸索や樹状突起、スパインの形成を適切に保つ役割から、LMTK1の機能異常は発達期の突起伸長を介して、回路形成に影響を与えている可能性が考えられる。LMTK1ノックアウトマウスは過活動を示す傾向が見られる。空間記憶形成は正常であるとされているが、不安様行動などは調べられていない。今後はオープンフィールドなどの行動実験も含めて検討していく予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Cdk5 regulation of the GRAB-mediated Rab8-Rab11 cascade in axon outgrowth.2017
Author(s)
Furusawa, K., Asada, A., Urrutia, P., Gonzalez-Billault, C., Fukuda, M., Hisanaga, S.
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Journal Title
J. Neurosci.
Volume: 37
Pages: 790-806
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Quantitative and combinatory determination of in situ phosphorylation of tau and its FTDP-17 mutants.2016
Author(s)
Kimura, T., Hosokawa, T., Taoka, M., Tsutsumi, K., Ando, K., Ishiguro, K., Hosokawa, M., Hasegawa, M., Hisanaga, S.
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Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 6
Pages: 33479
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] The kinase activity of endosomal kinase LMTK1A regulates its cellular localization and interactions with cytoskeletons.2016
Author(s)
Sharma, S., Tsutsumi, K., Saito, T., Asada, A., Ando, K., Tomomura, T., Hisanaga, S.
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Journal Title
Genes Cells.
Volume: 21
Pages: 1080-1094
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Two degradation pathways of the p35 Cdk5 activation subunit, dependent and independent of ubiquitination.2016
Author(s)
Takasugi, T., Minegishi, S., Asada, A., Saito, T., Kawahara, H., Hisanaga, S.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 291
Pages: 4649-4657
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] The abundance of nonphosphorylated tau in mouse and human tauopathy brains revealed by the use of Phos-tag method.2016
Author(s)
Kimura, T., Hatsuta, H., Masuda-Suzukake, M., Hosokawa, M., Ishiguro, K., Akiyama, H., Murayama, S., Hasegawa, M., Hisanaga, S.
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Journal Title
Am. J. Pathol.
Volume: 186
Pages: 398-409
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Cdk5-dependent phosphorylation of GRAB, a guanine nucleotide exchange factor for Rab8, regulates axon outgrowth by directing Rab8A to Rab11A-positive endosomes.2016
Author(s)
Furusawa, K., Asada, A., Urrutia, P., Gonzalez-Billault, C., Fukuda, M., Hisanaga, S
Organizer
American Society for Cell Biology 20162016
Place of Presentation
サンフランシスコ、アメリカ
Year and Date
2016-12-03 – 2016-12-07
Int'l Joint Research
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[Presentation] In vivo regulation of GSK3b activity unveiled by the quantitative measurement of its phospho-isotypes2016
Author(s)
Krishnankutty, K., Kimura, T., Saito, T., Aoyagi, K.,Asada, A., Ando, K., Ohara-Imaizumi, M., Ishiguro, K., Hisanaga, S.
Organizer
46th annual meeting of Society for Neuroscience
Place of Presentation
サンディエゴ、アメリカ
Year and Date
2016-11-12 – 2016-11-16
Int'l Joint Research
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[Presentation] Phosphorylation and Isoform Expression of Microtubule-Associated Protein Tau are Regulated Independently during Brain Development.2016
Author(s)
Tuerde, D., Kimura, T., Miyasaka, T., Asada, A., Saito1, T.,Ando, K., Hisanaga, S.
Organizer
14th Asian-Pacific Society for Neurochemistry
Place of Presentation
クアラルンプール、マレーシア
Year and Date
2016-08-26 – 2016-08-29
Int'l Joint Research
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