2016 Fiscal Year Research-status Report
慢性期虚血性白質障害における損傷メカニズムと細胞間の防御作用の検討
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16K07067
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宮元 伸和 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10365661)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | BDNF / 慢性低潅流モデル / 脳血管性認知症 / oligodendrogenesis |
Outline of Annual Research Achievements |
動物モデルにおいては、両側総頸動脈狭窄モデルの再現性が得られるかを見るため、コントロール群を作成し、虚血作成前、虚血作成後7日、14日、28日にて免疫組織化学的に白質の粗造化、オリゴデンドロサイト系の活性化、BrdUを用いた新生細胞数を確認した。10-12週齢C57BL6マウスを用いることにより、脳梗塞とはならず、白質の塑像化が再現性を持って得られ、さらにはオリゴデンドロサイトも虚血後一過性に上昇し、その後低下することが判明した。Ki67、BrdUを用いた新生細胞数においては、Ki67において14日をピークに細胞数の上昇が得られており、celltypingではオリゴデンドロサイト前駆前駆細胞(OPC)であった。BrdUを投与し2週間後の評価では一部成熟オリゴデンドロサイト(OLG)となるが、手術群ではOPCの割合が多かった。BDNFは14日まで経時的に低下してきており、28日では14日のレベルをkeepしていた。脳血流評価においては既報告通り、手術直後は手術前60%程度まで低下するものの、手術後28日では80-90%の低下になっていた。 初代培養系においては、既報告にあるような方法でオリゴデンドロサイト、アストロサイト初代培養系が機能するかを確認。そのうえでCoCl2を投与し慢性虚血変化が得られるかを確認した。そのうえでBDNFを投与した。CoCl2によりOPCがOLGに細胞死に至らない濃度においても成熟が抑えられ、実験の再現性を得られている。また、このmediumにBNDFを添加したところ、BDNFはCoCl2の成熟抑制効果を抑制し、オリゴデンドロサイト系の成熟、髄鞘の形成を促した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験開始にあたり、書類申請に遅れが出現したため、実験開始が遅れていた。しかし、実験開始後は当初の予定通り進行している。遺伝子改変に関してはいまだ申請中であり、今年度中の申請許可を目指していく。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験においては、まず、osmotic minipumpによる頭蓋内BDNFの実験を先行させ、慢性低潅流において、白質保護効果が得られるか確認していく。そのうえで、遺伝子改変の許可が下りた際には当該実験を進めていく。 初代培養系において、今後はアストロサイト、マイクログリア内の栄養因子を測定し、BDNFとのかかわりを検討していく。また各種薬剤を用いて阻害実験をおこない、シグナル伝達系の確認を行い、さらにはmedium transfer methodを用い、直接的な影響を測定する方針である。
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Causes of Carryover |
細胞染色のための抗体を購入したかったが、残金よりも高額のため購入できなかった。また、追加の動物実験に使用するためのコイルの購入も考慮したが、残金よりも高額であったため購入できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に当該抗体、コイルを購入することとした。
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