2017 Fiscal Year Research-status Report
オリゴデンドロサイト機能異常よるうつ病発症機構へのタンパクメチル化の関与
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16K07073
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
宮田 信吾 近畿大学, 東洋医学研究所, 教授 (70403194)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オリゴデンドロサイト / タンパクメチル化 / 慢性ストレス / PI3Kストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、オリゴデンドロサイト特異的かつ慢性ストレス特異的なリン酸化シグナルに対する制御因子としてのアルギニンメチル化の新規役割を解明し、オリゴデンドロサイト機能維持によるうつ病性疾患や不安障害の治療・予防への応用に展開するための研究基盤を確立することを目的としている。 申請者はこれまでに、慢性ストレス暴露によるうつ病発症機構として、脳白質オリゴデンドロサイトにおける構造変化や機能変化の可能性について見出すと共に特異的に活性化するリン酸化経路のひとつを同定している。 平成28年度は、慢性ストレス暴露における神経細胞およびグリア細胞でのアルギニンメチル化レベルについて、マウスと初代培養系でSYM11(symmetric-di methy arginine)抗体およびASYM24(asymmetric-dimethy arginine)抗体を用いてWestern blotting法などにより比較検討した。その結果、PRMT1と想定されるアルギニンメチル化の低下とPI3Kシグナルの活性化がオリゴデンドロサイトで生じている可能性を見出した。 平成29年度は、オリゴデンドロサイトでの慢性ストレス時に低下するPRMT1の基質の探索を行うための予備検討を実施した。その結果、我々の系ではSYM11およびASYM24によるメチル化タンパク検出感度が非常に悪いことが判明したため、急遽他の抗体を導入し、SDMA抗体およびADMA抗体を用いたWestern blottin法により十分な検出感度であることを確認することが出来た。更に、オリゴデンドロサイト初代培養系と共にニューロンーオリゴデンドロサイト共培養系を作成し、神経軸索活性レベルとしてのNa-K ATPase活性の測定条件の検討をELISA法により行ったところ、共培養系でも測定可能であることを確認することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の検討に引き続き、平成29年度以降の計画である慢性ストレス時に変化するオリゴデンドロサイトにおけるPRMT1との相互作用因子の同定に向けた予備検討を実施できた。さらに、オリゴデンドロサイトの初代培養およびニューロンーオリゴデンドロサイト共培養系を確立することが出来、軸索活性の測定に向けた条件検討も実施することが出来た。また、SAM-e濃度の測定準備等も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、これまでの研究成果と条件検討結果を元に具体的な因子の同定、共培養系での検討およびアルギニンメチル化とPI3Kシグナルの関連としてRNA結合タンパクなどを中心に解析を進める予定である。さらに、SAM-eレベルの変化とうつ症状表出との関連性についても行動試験などの手法より検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)基質を検出する抗体やSAM-e活性測定用のELISA、質量解析費用の一部について予定していた支出を本年度は行わなかったため。 (使用計画)同定予定の基質やRNA結合タンパクの抗体、ELISAや質量分析の経費として使用する予定である。
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Research Products
(10 results)