2017 Fiscal Year Research-status Report
動物実験の社会的理解を得るための情報発信のあり方についての研究
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16K07080
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笠井 憲雪 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (60001947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
打越 綾子 成城大学, 法学部, 教授 (40349163)
越本 知大 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (70295210)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動物実験の社会的理解 / 動物実験の情報発信 / 動物実験の意識調査 / 動物実験の児童図書出版 / 高校生物教育 / 動物実験倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
我か国では動物実験について実施者側から一般市民への情報発信が極めて少ないことから「動物実験の社会的理解を得るための情報発信のあり方についての研究」というテーマで、2016年度から研究を開始した。昨年度は第2年度に当たる。昨年度に実施した研究の成果について、記載する。当初、6つのサブテーマを設定した。それそれの進捗状況については次の項で述べるが、この研究の情報収集及び一部成果の公表のために、班員による次の研究活動を実施した。 1.第二回研究打ち合わせ会議を2017年6月17日-18日に順天堂軽井沢セミナーハウスにて開催し、当該年度の研究の展開について議論した。2.研究分担者の打越綾子教授が中心となり、2017年5月26日、27日に一般市民へのアンケート調査を行った。二日間でマクロミルのモニター3096人から回答を得た。その後、結果を取りまとめ、公表用論文を作成した。そして日本実験動物技術者協会総会(2017年10月12-14日、山形テルサにて開催)にて発表した。3.中井伸子班員を中心に高校における生物教育に関するアンケート調査を行った。まず、日本生物教育会第72回全国大会(2017年8月に栃木、帝京大学宇都宮キャンパスにて開催)にてアンケートの概要を発表した。その後、調査用紙を2017年9月-10月に学会会場と郵送で配布し、約130通を回収した。結果集計会議を2018年2月20日に帝京科学大学開催し、現在まとめている最中である。4.2017年3月11,12日に開催したセミナー&シンポジシウムをまとめる形で、「人と動物の関係を考える-仕切られた動物観を超えて」というタイトルで本を刊行した(打越綾子編、ナカニシヤ出版)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6つのサブテーマを設定した。それぞれの進捗状況は次の通りである。 (1)我が国一般市民の動物実験に関する意識を調査:調査と結果のまとめは終了し、現在公表のための論文作成を行っている。(2)研究機関等による情報公開の現状と問題点の研究:2016度にある程度動物実験に関する開示請求の事例を収集したが、2017年度は進捗していない。 (3)海外の意識調査実例を調査:2016年度に英国での一般市民の動物実験に関する意識調査結果を収集した。(4) 一般市民・児童生徒への出版事例について、その反響や効果を調査する。さらに海外の同様の書籍を調査する:班員により出版された「ありかとう実験動物たち」への反響調査と解析を2016年度から引き続き行っている。海外での児童図書出版については、インターネット調査と加隈班員の英国での調査では、見つけられなかった。出版されていないように思われた。 (5)中学・高校の生物教育等現状の調査:高校の生物教師対象に動物を用いた生物教育についてのアンケート調査行った。現在結果を集計し、まとめを行っている。 (6)情報発信における研究倫理及び動物実験倫理上の課題について:伊勢田哲治班員による研究成果の冊子の刊行を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であり、これまで行っている研究の取りまとめに当たる。そして研究全体の結果報告書を作成する。 設定した6つのサブテーマについて次のように研究を進める。 (1)我が国一般市民の動物実験に関する意識を調査:調査結果のまとめ、完全公表用の論文(日本語)を作成する。日本語版は大論文なので、英語による短縮版を作成し、関係雑誌に投稿し、少なくとも掲載決定まで持っていく。(2)研究機関等による情報公開の現状と問題点の研究:2016度にある程度動物実験に関する開示請求の事例を収集したので、現状と問題点を考察し、報告する。 (3)海外の動物実験の状況調査:英国に調査班を派遣し、大学や関係団体の状況を調査し、報告紹介する。(4) 一般市民・児童生徒への出版「ありがとう実験動物たち」への反響調査と解析:これまで行ってきた調査と解析について、最終的にまとめ、報告書を公表する (5)中学・高校の生物教育等現状の調査:高校の生物教師対象に動物を用いた生物教育について行ったアンケート調査のまとめを報告し公表する。 (6)情報発信における研究倫理及び動物実験倫理上の課題について:さらなる研究を行い、成果を敢行する。
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Causes of Carryover |
(理由) 海外の実例調査が昨年度から本年度に変更したために、その予算(英国への旅費:300,000円X3名=900,000円)が今年度への繰越となった。 (使用計画) 海外実例調査について。現在訪問先との打ち合わせを行っており、本年9月か10月に実施予定である。
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Research Products
(9 results)