2016 Fiscal Year Research-status Report
CRISPR/Cas9を用いたヒト生体免疫モデル動物の開発と麻疹ウイルス感染研究
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16K07084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中西 友子 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10344863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 泉 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70158913)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 麻疹ウイルス / NSG / ヒト化マウス / 臍帯血幹細胞 / GFP / 感染モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、免疫ヒト化マウスの麻疹ウイルス(MV)感染モデルとしての有用性を検討し、新たな小動物感染モデルの確立を目的とする。本年度はまず、超免疫不全NSGマウス新生仔の顔面静脈から、理研バイオリソースセンターより購入したヒト臍帯血幹細胞を移植し、免疫ヒト化マウスを作製する系を確立した。移植により骨髄および脾臓ではヒトT細胞およびB細胞の分化が認められ、移植から数ヶ月後にはヒト白血球がマウス末梢血の約半分を占めていた。また、分化したヒト白血球表面にはMVの受容体であるSLAMの局在が認められた。そこで、感染細胞でGFPが発現する組換え麻疹ウイルスを尾静脈から接種し、体内の緑色蛍光を追跡した。その結果、脾臓、骨髄、リンパ節において強い緑色蛍光が観察され、フローサイトメトリー解析により、ヒトTおよびB細胞の一部がGFP陽性であることも認められた。マウス白血球はGFP陰性であった。これらのことから、免疫ヒト化マウス内のヒト白血球はMVに感受性があり、作製した免疫ヒト化マウスがMV感染モデルとなり得ることが示唆された。また、NSGマウスをゲノム編集で改変する系を立ち上げ、NSGマウス内のヒト免疫システムの確立に向けて、獲得免疫や細胞性免疫に重要な役割を果たす主要組織適合性抗原MHCをCRISPR/Cas9により遺伝子欠損させた。その結果、MHCクラスIまたはIIがマウス白血球表面から欠失したマウスを作製することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト臍帯血幹細胞をNSGマウスに移植して作製した免疫ヒト化マウスが麻疹ウイルス感染モデルとして有用であること、また、NSGマウスの簡便な遺伝子改変の系の確立を進めており、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫ヒト化マウスを用いてサルに近い小動物麻疹ウイルス感染モデルを構築できたと考えている。今後、感染経路や白血球減少など、免疫ヒト化マウスの麻疹ウイルス感染時における詳細な解析を進める予定である。
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Research Products
(3 results)