2016 Fiscal Year Research-status Report
Chmp2A/B変異マウスを用いたESCRT異常による筋萎縮性側索硬化症の解析
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16K07087
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
高林 秀次 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 助教 (70372521)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋萎縮側索硬化症 / ESCRT |
Outline of Annual Research Achievements |
ALSは脊髄中の運動ニューロンが選択的に侵され、重篤な筋肉の萎縮をきたす神経変性疾患である。申請者はALS様病態を自然発症する新規劣性突然変異マウスを発見した。申請者はその原因遺伝子がChmp2A遺伝子のミスセンス点突然変異(c.519T > C)があり、この変異によりロイシンがプロリンへ置換する(p.L173P)ことを見つけた。一方、CHMP2AのファミリーであるCHMP2Bは神経変性疾患の原因遺伝子として報告されている。特にヒトの認知症を伴うALS(ALS-D)患者においてCHMP2B遺伝子のミスセンス変異が多数報告されている(p.Q206H)。Chmp2AおよびChmp2Bタンパク質はESCRT-IIIサブユニットの一つである。ESCRT-IIIは多腔性エンドソーム(MVB)を形成し、ユビキチン化を受けた不要な膜タンパク質を分解する働きがある。ESCRT-IIIサブユニットの機能不全は不要な膜タンパク質のMVBへの移行を阻害する事が知られている。すなわち、Chmp2ファミリーの異常により、神経細胞での異常なタンパク質の蓄積がALSの発症に関与していることが予想された。 本研究では、ゲノム編集技術CRISPR/Cas9系を用いて、Chmp2A遺伝子改変マウスの単純ノックアウトマウスおよびChmp2B遺伝子のヒトで見つかったQ206Hの変異を導入したChmp2BQ206Hマウスを作製した。その結果、Chmp2AKOマウスは胎生致死であることが明らかになった。Chmp2BQ206H遺伝子改変マウスのヘテロマウスは正常であり、現在、ホモ変異マウスの作製を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Chmp2A遺伝子のノックアウトマウスの作製およびChmp2B遺伝子のヒトの既知変異(c.618A > C/ p.Q206H)を導入した遺伝子改変マウスの作製が既に終わっている。これらマウスを現在繁殖しており、順調にいっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していたChmp2AL173P変異マウスは出生したが、途中で死んでしまったため、今年度はこのマウスの作製に重点を置くと共に、自然発症で見つかったマウスの精子の顕微授精を行い、Chmp2AL173P自然発症変異マウスの作製も試みる。さらに、Chmp2Aノックアウトマウスが胎生致死であったことからChmp2A Floxマウスの作製も行う予定である。これらマウスと既に作成済みのマウスの表現型を明らかにする予定である。
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