2016 Fiscal Year Research-status Report
肺パスツレラの細菌分類の再編と病原因子に基づく検出法の開発
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16K07095
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐々木 啓 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20384969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保原 禅 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 教授 (00221937)
池 郁生 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 専任研究員 (40183157)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺パスツレラ / ドラフトゲノム / 病原因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、昨年度に引き続き肺パスツレラ biotype Heylのドラフトゲノム解析および肺パスツレラ株の多くが産生する病原性に関わるタンパク質の解析を行った。 biotype Heylのドラフトゲノム解析については、先に行われたbiotype Jawetzのドラフトゲノムと比較ゲノム解析を行い、両者に共通した病原因子の特定と、その解析を行った。その中でも血球凝集素をコードする遺伝子に肺パスツレラ野生株にも共通した配列が存在することがわかった。両biotypeにも、宿主細胞内でリン酸化に関わる部位、さらにはAMPが付加される部位が保存されており、当菌の病原因子の一つであることがわかった。今後、リン酸化やAMP付加に関して詳細を明らかにしていく予定である。 肺パスツレラの標準株には、先頃新たなバクテリア同士の増殖抑制機構として同定されたcontact-dependent growth inhibition (Cdi)をコードする遺伝子が見出されている。当該研究者が保有する肺パスツレラ野生株の遺伝子を調査したところ、野生株にはこの遺伝子やCdiのレセプターになる因子を持たない株がいることがわかった。とくに、これまでの細菌分類で近縁種とされてきたActinobacillus (Muribacter) murisやHaemophilus influenzaemuriumには、肺パスツレラ間で保存性の高いCdiやレセプターをコードする遺伝子は検出されなかった。さらに外膜レセプターであるBamHを持っているが、Cdiをコードする遺伝子群が存在しない肺パスツレラ野生株も存在した。このCdiシステムはコロナイズする際に競合する同種や近縁種の増殖を抑制し、自ら優占的に増殖するための機構と考えられる。Cdiシステムの有無が、感染成立に及ぼす影響についても今後明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外からの研究者間の情報で、肺パスツレラが新属として再編され、その論文が受理されたとのことであった。当該研究でも、野生株を集め、随時ハウスキーピング遺伝子を検討し新属再編の検討を行っていたため、当初の予定を変更せざるを得ない状況となった。 今後は、新属再編の情報をもとに、病原因子と検出方法に注力して進めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、肺パスツレラ血球凝集素が宿主細胞に及ぼす影響を、リン酸化、AMPylationといった最近明らかになった病原機構を中心に解明する予定である。Cdiシステムの有無や株間差など、肺パスツレラが持つ病原因子機構を解析する。さらに、宿主免疫細胞の応答や挙動を解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、海外からの肺パスツレラ新属再編の情報が有り、ゲノムやタンパク質解析を停止せざるを得なかった。そのため、予定額よりも少ない支出となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、当初の予定と異なり、近縁種のドラフトゲノム解析、肺パスツレラのタンパク質解析に注力したいと考えている。
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Research Products
(4 results)