2017 Fiscal Year Research-status Report
Functional analyses of testis-specific histone H3 variant H3t
Project/Area Number |
16K07099
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
上田 潤 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80450394)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ヒストンバリアント / 精子形成過程 / エピジェネティクス / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではマウスの精巣特異的ヒストンH3バリアントであるH3tに着目し、クロマチン構造が大規模に変動する精子形成過程においてH3tがどのような役割を担っているのかを明らかにすることを目的として行った。これまでの解析から、H3tは幹細胞の維持には必要ないが、精原細胞が分化し、減数分裂に移行するために必要であることを明らかにした。また、胡桃坂仁志博士のグループの解析によって、H3tを組み込んだヌクレオソームはcanonicalなH3であるH3.1を組み込んだヌクレオソームに比べて開いた構造を取っていることが結晶構造並びに生化学的解析によって明らかとなった。さらに、この構造の違いがヌクレオソームのentry/exit部位に位置するH3tの42番目のヒスチジン残基(canonicalなH3では42番目がアルギニン残基)に由来することも点変異の実験によって突き止めた。これらの結果は論文として発表し(Ueda, J., et al., Cell Reports, 2017)、現在はこの仕事の続きとして、H3tの42番目のヒスチジン残基をアルギニン残基に置換したマウスの作製に取り組んでおり、ヒストンの1アミノ酸の違いが精子形成過程に及ぼす影響を確かめようとしている。
上記と並行してARTクリニックとの共同研究を推進し、その一部を論文として発表した。具体的には、環状染色体を保有し、乏精子症と診断された患者さんの精子中に環状染色体が含まれるか否かを検査する臨床研究を行ったが、この過程でアスペクト比の高い精子または精子頭部の短径が短い精子の受精率が高いことが明らかとなった(Nishikawa, K., et al., JARG, 2018)。この理由はまだ明らかではないが、ヒトの精子中にはより多くのヒストンが残っていることが知られているため(マウスでは1%であるのに対してヒトでは10%)、ヒストンの含量が精子頭部の形状に関係しているのではないかと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に中部大学から旭川医科大学に移籍したことから研究を一時中断しなければならなかったが、これを機会に実験手法の見直しを行った。その結果、本研究に欠かすことのできないゲノム編集技術の効率的な方法を導入することができた。平成29年度は研究環境や実験材料を集めるのに時間を要したが、だいぶ環境が整ってきたので、平成30年度から実験データの取得に取り組みたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
H3tの42番目のヒスチジン残基をアルギニン残基に置換したマウスの作製に取り組むと共に、今後はH3tに特異的あるいは特徴的なヒストン修飾が存在するか否かを検証していく予定である。後者については基礎生物学研究所の中山潤一博士とトロント大学のJinrong Min博士との共同研究であり、翻訳後修飾されたH3tにより強く結合するクロマチン蛋白質の候補を得ている。昨年度は現地に赴いて個別にミーティングを行うことができた。既にJinrong Min博士によって構造解析の結果は得られており、現在は中山博士と協力して、候補分子のin vivoでの機能解析を進めている。平成30年度中に論文投稿することを目標に進めて行く。
|
Causes of Carryover |
平成29年度は中部大学から旭川医科大学に移籍した関係で、実験を一時中断し、当初予定していた実験の一部を行うことができなかった。平成29年度に予定していた実験の一部を平成30年度に行うために、予算の一部を繰り越すこととした。
|
Research Products
(18 results)
-
-
-
-
[Journal Article] Chd2 regulates chromatin for proper gene expression toward differentiation in mouse embryonic stem cells.2017
Author(s)
Semba Y, Harada A, Maehara K, Oki S, Meno C, Ueda J, Yamagata K, Suzuki A, Onimaru M, Nogami J, Okada S, Akashi K, Ohkawa Y.
-
Journal Title
Send to Nucleic Acids Res.
Volume: 45
Pages: 8758
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
[Journal Article] Extraction of Cell Nuclei using CNN Features.2017
Author(s)
Tsukada, Y., Iwahori, Y*., Funahashi, K., Jose, M., Ueda, J., and Iwamoto, T.
-
Journal Title
Procedia Computer Science
Volume: 112
Pages: 1633
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
[Presentation] Extraction of Cell Nuclei using CNN Features.2017
Author(s)
Tsukada, Y., Iwahori, Y., Funahashi, K., Jose, M., Ueda, J., and Iwamoto, T.
Organizer
21st International Conference on Knowledge Based and Intelligent Information and Engineering Systems, KES2017
Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-