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2017 Fiscal Year Research-status Report

膵癌の微小環境におけるケモカインシグナルのインパクトとその作用機序の検討

Research Project

Project/Area Number 16K07109
Research InstitutionJuntendo University

Principal Investigator

伊佐山 浩通  順天堂大学, 医学部, 教授 (70376458)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 伊地知 秀明  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70463841)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords膵癌 / CXCR2 / CCR2 / 微小環境
Outline of Annual Research Achievements

我々の樹立した膵発癌マウス(膵臓特異的変異型Kras発現+TGF-betaII型受容体(Tgfbr2)ノックアウト)は、間質の増生・線維化といった臨床の膵癌の組織像を良く再現し、これまでの検討から、膵癌の微小環境における腫瘍間質相互作用が膵癌の進展に寄与していることが分かり、中でもケモカインシグナルの重要性が示唆された。そこで本研究の目的は、この臨床像に近い膵発癌マウスモデルにおいて、ケモカイン受容体CXCR2, CCR2シグナルのノックアウトによる膵癌の発育進展に与えるインパクトと癌の非小環境におけるその作用機序を明らかにし、膵癌の微小環境の病態理解に基づいた、より効果的な膵癌の治療法を開発することである。
本膵発癌マウスにおいてCxcr2のヘテロノックアウトを行うと、もとの膵発癌マウスに比べて生存期間が有意に延長することがわかった。Cxcr2ヘテロノックアウトの組織像はH&E染色では著明な相違はないように思われたが、免疫組織学的に詳細な解析を行った結果、Cxcr2ヘテロノックアウトでは腫瘍血管新生が抑制されており、癌細胞の血管への微小浸潤も抑制されていた。また、Cxcr2ヘテロノックアウトでは、腫瘍内に浸潤している好中球、骨髄由来抑制性細胞(myeloid-derived suppressor cells, MDSC)が減少しており、apoptosisに陥っている癌細胞が増加していた。
これまでの研究で、膵癌細胞と癌関連線維芽細胞とが同じ種類のCXCケモカインを産生して、お互いの浸潤・遊走能を高めていることも示されており、膵癌の微小環境においてCXCR2シグナルの阻害が、膵癌と線維芽細胞の協働による膵癌の浸潤を抑制し、腫瘍内の免疫・炎症細胞のプロファイルを変化させ、生命予後にも寄与する有望な分子標的治療となり得ることが示唆された。
また、本膵発癌マウスにおいてCcr2のノックアウトも行うべく交配を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本膵発癌マウスにおいてCxcr2ヘテロノックアウトとCxcr2野生型の個体が十分な数(各n=25以上)得られ、その生存期間の比較ができた。ヘテロノックアウトであったが、生存期間に有意差が得られ、このシグナルのインパクトが示された。またその組織像の解析のために週齢を揃えて膵腫瘍組織を確保し、詳細な免疫組織学的解析を行うことが出来た。
本膵癌マウスにおいてCcr2をノックアウトするプロジェクトについては、Ccr2ノックアウトアレルとTgfbr2 floxedアレルの一方がホモ接合体となると他方が野生型となってしまう傾向があり、両アレルのホモ接合体が得られにくい状況ではあるが、徐々に交配が進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

Cxcr2ヘテロノックアウトのインパクトについては、癌関連線維芽細胞と膵癌細胞とのCXCケモカイン-CXCR2 axisを介した膵癌進展機序を含めて論文化し現在投稿中。
Ccr2ノックアウトのインパクトを示すべく交配を進める。現在、Ptf1acre/+;Tgfbr2 flox/wt;Ccr2 -/+、LSL-KrasG12D/+;Tgfbr2 flox/wt:Ccr2 -/+、Tgfbr2 flox/flox;Ccr2 -/+、Tgfbr2 flox/wt;Ccr2 -/-が少数ずつ得られている状態である。
また、Ccr2阻害剤の存在により、膵癌細胞、癌関連線維芽細胞、マクロファージ系の細胞の増殖や浸潤・遊走能に影響があるかどうかをin vitroの系にて確認するのに加え、それぞれの細胞の共培養とCcr2阻害剤の有無が、増殖・浸潤・遊走に与える影響についても検討する。

Causes of Carryover

Cxcr2ヘテロノックアウトの交配は順調に進んだが、Ccr2ノックアウトの交配は進みが緩やかであり、飼育費用、組織検体処理関連の費用および免疫組織学的検討に用いる抗体費用などを次年度に持ち越し、目的の遺伝子型の個体が得られてからの解析に回すこととする。また年度内の関連の学会参加費用に充てることも考慮したが、とりやめたため使用しなかった。

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Published: 2018-12-17  

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