2016 Fiscal Year Research-status Report
脱ユビキチン化酵素阻害剤が駆動する新規HIF-1分解経路の同定
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16K07114
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 明 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50300893)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 低酸素応答 / 脱ユビキチン化酵素 / プロテアソーム / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、HIF-1αの各種変異体を用いて、脱ユビキチン化酵素(DUB)阻害剤が誘導するHIF-1α分解に必須なHIF-1α分子内領域の絞り込みを試みた。C末端にHAタグを付加したHIF-1α(野生型HIF-1αHA)発現プラスミドを作製後、C末端欠失変異体HIF-1α(1-600)HA、HIF-1α(1-375)HA発現プラスミドも作製した。さらに、HIF-1αのプロテアソーム分解の過程で必須の翻訳後修飾を受けるLys残基(ユビキチン化修飾)およびPro残基(水酸化)の点変異体であるHIF-1α(3K>3R)HAおよびHIF-1α(2P>2A)HAも作製した。これらプラスミドをヒト肝がん細胞株HepG2に導入し、薬剤選択によってHIF-1αおよびHIF-1α変異体発現安定発現株を樹立した。 得られた各HIF-1α発現細胞株を用いて、プロテアソーム阻害剤刺激後4時間で蓄積した野生型および変異体HIF-1αの発現レベルに及ぼすDUB阻害剤の影響を抗HA抗体を用いたウエスタンブロット解析によって検討した。その結果、野生型HIF-1αHA、HIF-1α(3K>3R)HAおよびHIF-1α(2P>2A)HAはいずれもDUB阻害剤処理によって分解へと誘導された。また、HIF-1α(1-600)HAについても野生型HIF-1αHAと同様の分解傾向が観察された。一方、HIF-1α(1-375)HAはDUB阻害剤処理による分解誘導を受けなかった。以上の結果から、DUB阻害剤刺激によるプロテアソーム非依存的経路を介したHIF-1αの分解には、プロテアソームでの分解に必須な領域とは異なる分子中央に位置する約200アミノ酸からなる領域が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HIF1α変異体安定発現細胞株の樹立を行うことで、DUB阻害剤によるHIF1α分解関連分子内領域の絞り込みを行うことができた。樹立した細胞株は来年度以降の解析にも有用であり、本研究を効率よく遂行するための途が開かれた。
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Strategy for Future Research Activity |
プロテアソーム非依存的HIF1α分解を担うタンパク質分解酵素を同定を、候補となる核内酵素のノックアウト細胞株の作製あるいはノックダウンによって進める。
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