2017 Fiscal Year Research-status Report
脱ユビキチン化酵素阻害剤が駆動する新規HIF-1分解経路の同定
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16K07114
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 明 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50300893)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 低酸素応答 / 脱ユビキチン化酵素 / プロテアソーム / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は脱ユビキチン化酵素阻害剤WP1130によるHIF-1分解に関わる脱ユビキチン化酵素の同定を試みた。WP1130によって阻害を受けることが報告されているUSP5、USP14およびUCH-L5をsiRNAを用いてノックダウンし、WP1130刺激後のHIF-1発現レベルの変化を検討した。その結果、いずれの酵素の発現低下もWP1130の作用に影響を及ぼさず、これら酵素の関与は否定された。次に、HIF-1のユビキチン化酵素であるpVHL複合体との相互作用が報告されているUSP20をノックアウトしたHEK293細胞株を樹立した。また、同様にpVHL複合体との相互作用が示唆されている機能未知のプロテアーゼであるカルパイン7遺伝子についてもノックアウト細胞株の樹立を行った。今後、作製したプロテアーゼノックアウト細胞株を用いてWP1130によるHIF-1分解誘導へのUSP20およびカルパイン7の関与を検討する予定である。 WP1130の作用機構を解明するために、HIF-1以外の転写因子発現レベルに対する本阻害剤の効果を検討した。その結果、WP1130添加によって、c-MycおよびE2F1の発現レベルの著しい低下が観察された。さらに、WP1130刺激した際にATF-2のSDS-PAGE上での移動度の低下が観察され、ATF-2が高度にリン酸化を受けている可能性が示唆された。そこで、ATF-2のリン酸化を引き起こす経路の中心に存在するJNKキナーゼやp38 MAPキナーゼがWP1130刺激によって活性化されるか否かを検討したところ、本阻害剤刺激によって両酵素の活性化が引き起こされることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
WP1130の標的となる脱ユビキチン化酵素の同定には至らなかったが、ユビキチン-プロテアソーム経路非依存的なHIF-1分解に関わりうる細胞内情報伝達経路を見い出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
WP1130によって活性化されるJNKキナーゼやp38 MAPキナーゼ経路が如何にしてユビキチン-プロテアソーム経路非依存的なHIF-1分解を誘導するかに焦点を当てて解析を進める。
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