2016 Fiscal Year Research-status Report
In vivoエレクトロポレーションを用いた新規マウス脳腫瘍モデルの開発
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16K07125
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大西 伸幸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (40534540)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マウス脳腫瘍モデル / In vivoエレクトロポレーション / piggyBacシステム / 神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)IVE(In vivo electroporation)による新生児マウス脳室内への遺伝子導入 - 新生児マウス脳室内に遺伝子導入する条件検討を行った。EGFP発現ベクターを新生児マウス右脳室にインジェクションし、NSCs(neural stem cells)が存在する側脳室に遺伝子導入するためにピンセット型電極でマウス頭部を挟みIVEを行った。24時間後に実体蛍光顕微鏡下で観察を行ったところ、生きたままの新生児マウスで脳内EGFP発現を確認することができた。 2)piggyBac systemを用いて新生児マウス側脳室NSCsに挿入する発現ベクターの構築 - 子宮内エレクトロポレーション法を用いて神経発生の解析を行う場合、終末分化した神経細胞は分裂を停止するため一過性発現させたタンパク質は残存し続ける。対して、発がん過程の細胞は分裂が盛んであるため安定発現ベクターの使用が必須であることから、①piggyBac systemを用いてがん遺伝子(H-RAS V12)cDNAとがん抑制遺伝子(Ink4a/Arf)shRNAを同時に安定発現させるベクターならびに②hyPB(高活性piggyBac転移酵素)を一過性発現させるベクターを構築した。 3)IVEを用いたマウス脳への直接遺伝子導入によるマウス GBM(glioblastoma multiforme)モデルの構築 ― 構築した発現ベクターを用いてIVE法にて新生児マウス側脳室NSCsにH-RAS V12 cDNAおよびInk4a/Arf shRNAを導入し、腫瘍形成能や病理像についてこれまでに構築してきた移植モデルとの比較検討を行った。IVE後、約2ヶ月で脳腫瘍形成を確認することができ、形成された脳腫瘍は病理学的所見より、移植モデル同様にヒトGBMと似た特徴を示し、移植モデルとは異なった点として強いリンパ球浸潤が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、これまでに申請者らが構築してきた細胞移植によるマウスGBMモデルを発展させ、IVEを用いてマウス脳に直接遺伝子を導入することで、より臨床的で汎用性が高い発がんモデルの開発を目的としている。まずは子宮内エレクトロポレーション法を応用して、IVEで新生児マウス脳内に直接遺伝子を導入するための条件検討を行ったところ、実体蛍光顕微鏡下で生きたまま新生児マウスの脳内EGFP発現を確認することができた。胎児期は神経分化が盛んなことから新生児マウスを用いており、神経細胞への分化が抑制されたNSCsのゲノムDNAに遺伝子を導入することで効率良く正常細胞を発がんさせることを狙いとしている。インジェクションする発現ベクターについて、IVEでマウス脳内NSCsのゲノムDNAに遺伝子を組み込むためにpiggyBac systemを採用している。H-RAS V12ならびにInk4a/Arf shRNAを同時に安定発現させるpiggyBacベクターと高活性piggyBac転移酵素であるhyPBを一過性発現させるベクターを構築し、in vitroでNSCsに共遺伝子導入後、安定発現株を樹立して発現確認を行った。実際に、構築した発現ベクターをIVEで新生児脳内に導入したところ、経過観察により脳腫瘍の形成が確認できた。腫瘍形成する割合についてはばらつきがあったため、インジェクションの条件について今後も要検討である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞移植によるマウスGBMモデルに用いているC57BL/6マウスはストレスに敏感であり、子宮内エレクトロポレーション法を用いた神経発生の解析には一般的に食殺や育児放棄の少ないICRマウスが用いられるが、これまでの条件検討でC57BL/6マウス新生児へのIVEによる食殺や育児放棄の割合が低かったことから今後もC57BL/6マウスを用いた実験で観察を行う予定である。今後はさらに、腫瘍形成する確率を100%にすることを目標にインジェクションの条件について検討を行い、H-RAS V12以外のがん遺伝子導入による腫瘍形成能についても比較検討する。形成された腫瘍について病理学的解析に加えて免疫組織化学を用いた詳細な解析を行い、より臨床的な要素を再現し得る発がんモデルの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
当初、平成28年度計画では、『In vivoエレクトロポレーションを用いた新規マウス脳腫瘍モデルの開発』を行うにあたり、腫瘍形成の有無についてルシフェラーゼ発現をin vivoイメージングにより解析する予定であった。しかし、観察過程でルシフェラーゼ遺伝子を導入したC57BL/6マウスにおいて腫瘍形成能が低かったことや、形成された腫瘍でルシフェラーゼ発現が確認できなかったことから、C57BL/6マウスを用いた本in vivoモデルにおいてはルシフェラーゼが免疫源となり得ることが強く示唆された。これまでの先行研究でC57BL/6マウスにルシフェラーゼ発現がん細胞株を移植したマウスモデルの例が複数あったことから今回の示唆は予期できなかったものであり、その確認に数ヶ月の時間を要したため計画の進捗がそれだけ遅れる結果となり、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していたin vivoイメージングによる腫瘍形成の有無確認が困難であり、腫瘍形成能の解析に当初より多くのマウス個体数や実験を要することが見込まれるため、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Simvastatin-Induced Apoptosis in Osteosarcoma Cells: A Key Role of RhoA-AMPK/p38 MAPK Signaling in Antitumor Activity.2017
Author(s)
Kamel WA, Sugihara E, Nobusue H, Yamaguchi-Iwai S, Onishi N, Maki K, Fukuchi Y, Matsuo K, Muto A, Saya H, Shimizu T.
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Journal Title
Mol Cancer Ther.
Volume: 16
Pages: 182-92.
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The EGF Receptor Promotes the Malignant Potential of Glioma by Regulating Amino Acid Transport System xc(-).2016
Author(s)
Tsuchihashi K, Okazaki S, Ohmura M, Ishikawa M, Sampetrean O, Onishi N, Wakimoto H, Yoshikawa M, Seishima R, Iwasaki Y, Morikawa T, Abe S, Takao A, Shimizu M, Masuko T, Nagane M, Furnari FB, Akiyama T, Suematsu M, Baba E, Akashi K, Saya H, Nagano O.
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Journal Title
Cancer Res.
Volume: 76
Pages: 2954-63
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Tumour resistance in induced pluripotent stem cells derived from naked mole-rats.2016
Author(s)
Miyawaki S, Kawamura Y, Oiwa Y, Shimizu A, Hachiya T, Bono H, Koya I, Okada Y, Kimura T, Tsuchiya Y, Suzuki S, Onishi N, Kuzumaki N, Matsuzaki Y, Narita M, Ikeda E, Okanoya K, Seino K, Saya H, Okano H, Miura K.
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Journal Title
Nat Commun.
Volume: 7
Pages: 11471
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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