2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K07130
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
主藤 朝也 久留米大学, 医学部, 助教 (50309803)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 亮 久留米大学, 付置研究所, 教授 (50158177)
三森 功士 九州大学, 大学病院, 教授 (50322748)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | TIL / T細胞 / サブセット / 食道癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に計画していたTリンパ球のサブセットの解析から開始。現在まで45例の食道癌切除症例の切除病変切片においてCD3,CD4, CD8, CD45RO, Foxp3, PD-L1, HLAの免疫染色(IHC)を施行。上記マーカーのうちCD3, CD8, CD45RO, Foxp3の組織発現に関して相互関係を見るためにクラスタリング解析を行い5グループにクラスタリングされた。以上から食道癌の局所での免疫細胞特にT細胞のサブセットパターンの観点から、食道癌は大きく5グループに分類できることが明らかとなった。 5グループの概要としてグループ1、グループ2は特に免疫細胞の関与に乏しいグループであり、グループ3, 4, 5は免疫細胞の関与が著しいグループであった。グループ1,2とグループ3,4,5のサブセット間では無再発生存に関する予後に差を認め、グループ3,4,5が有意に予後良好であることも明らかとなり、tumor infiltrating lymphocyte(TIL)で我々が報告した免疫細胞の関与がある症例が予後良好であることを裏打ちする結果となった。 グループそれぞれの特徴としてグループ1は真に免疫細胞の反応が見られないタイプ、グループ2では制御性T細胞の関与が認められるタイプ、グループ3は、ほぼ全T細胞サブセットが豊富に見られるタイプ、グループ4は全サブセットが多く見られる中、制御性T細胞サブセットの割合が多いタイプ、グループ5は全サブセット中メモリーT細胞サブセットの割合が多いタイプであった。 現在グループ1,2とグループ3,4,5間でT細胞レセプターに対するadaptor ligation PCR及び次世代シークエンサーによる統合解析を行い、グループ1,2、グループ3,4,5間において共通のレセプターレパートリーが認められるかを解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに次世代シークエンサー解析を6症例分に施行している。グループ間における予後に差があるかに関しては、本研究のエントリー症例が45例に増加したところで明らかとなった。そのため、次世代シークエンサー解析の比較解析を施行することが、研究年度後半までずれ込んだ。また、次世代シークエンサーの結果に関しても症例間で非常に多様性が多いことから、バイオ統計学のどの統計解析手法を用いて解析を行うか、についても議論が別れたため解析自体も遅延を生じた。 現在食道切除標本からの核酸抽出を定期的に行っているが、核酸収量が予想よりも少なく、またmRNAの質が予測していたものよりも低品質である症例が散見される。理由として食道癌症例の手術時間の長さが挙げられる。食道癌手術は平均して手術時間が7-8時間であるが、食道標本が摘出されるまでの間、食道が一定時間室温に虚血状態でさらされている。このためmRNAのdegradationが進む可能性が高いため、mRNA品質の低下が起こっているものと考えられる。現状では手術時間を研究のためだけに早めることは不可能であるため、得られた試料の中から品質が保たれているものを選択して行うことで対処をしている。 食道癌症例は以前と異なり早期癌での発見が増加してきた。そのため、食道癌手術適応症例の減少が顕著である。また、進行食道癌に対して現在の標準治療が術前放射線化学療法を行うことが標準治療となってきており、術前加療のない症例を獲得するという点で症例数が限定される。術前治療についても研究の有無で関与することはできないため、この点においても症例数が限定される
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までに6症例に施行したTCRの次世代シークエンサーの解析ではTCRα鎖についてはサブセットの間で共通した有意な組み合わせは認められないが、組み合わせランキングでは数例追加することで有意差がでる可能性がでてきたため、症例追加を行う。 上記解析で得られたサブセット間で共通のTCRα,β鎖レパートリー探索を行い、グループ1,2に共通のレパートリー、あるいはグループ3,4,5に共通のTCRをレパートリーを明らかにする。この内グループ1,2に共通するTCRのレパートリーは、本研究で現在までに明らかにしたサブセット解析からは、腫瘍内において免疫反応を妨げる働きをする可能性が考えられる。逆にグループ3,4,5に共通のTCRレパートリーは、より免疫反応を刺激する働きをすると考えられる。この結果を元に、将来的に腫瘍局所の免疫細胞のサブセット、TCRレパートリーの組み合わせから腫瘍に対する最適な治療戦略への新たな手がかりを得られる可能性がある。 また、本研究より腫瘍からのT細胞抽出、ソーティングを実行に移す予定である。現在末梢血におけるT細胞のFACSを施行し、上記サブセットへの分離を試みているが、FACSに関して特に大きな問題は認められていない。同手技を確立し次第、摘出腫瘍からのコラゲナーゼ処理による腫瘍細胞とT細胞の分離を行う予定である。当大学免疫学教室においてマウスの正常小腸からのT細胞分離を行なっており、同プロトコールに従い腫瘍組織からのT細胞の分離、保存を行う。今後、腫瘍細胞とT細胞との直接の相互作用解析に用いる予定である。
|
Causes of Carryover |
当初の予定であったT細胞サブセット解析が上記のように予定よりも遅延した。そのため当初の計画であったadaptor ligation PCRおよび次世代シークエンサー解析がそれに引き続き遅れている。以上から試薬購入を延期したため当初の予定額に達せず、使用額に差異が生じた。 年度始めより遅延していた分のシークエンサー解析を行うのと並行して、腫瘍組織からのT細胞のソーティング、腫瘍細胞の分離を行うため科研費予算は最終的に使用する予定である。当初の研究予定よりも遅れてはいるものの、大幅な遅延ではないと考えている。本解析をもとに、結果の論文化、報告を行う予定としてる。
|
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] PDL1 expression and tumor infiltrating lymphocyte subset analysis in primary esophageal cancer tissue2017
Author(s)
Tomoya Sudo, Mizoguchi Atsushi, Kawahara Akihiko, Haruhiro Hino, Saisho Kouhei, Nagasu Sachiko, Taizan Minami, Matono Satoru, Mori Naoki, Tanaka Toshiaki, Mimori Koshi, Yamada Akira, Akagi Yoshito
Organizer
日本癌学会
Int'l Joint Research
-
[Presentation] Trial of Analysis The Expression of PDL1 Expression and The Subset of Tumor Infiltrating Lymphocyte in Esophageal Squamous Cell Carcinoma2017
Author(s)
Tomoya Sudo, Mizoguchi Atsushi, Kawahara Akihiko, Haruhiro Hino, Saisho Kouhei, Nagasu Sachiko, Taizan Minami, Matono Satoru, Mori Naoki, Nanaka Toshiaki, Mimori Koshi, Yamada Akira, Akagi Yoshito
Organizer
日本癌治療学会
Int'l Joint Research