2016 Fiscal Year Research-status Report
マイクロサテライト不安定性を呈する大腸癌のゲノム・エピゲノム解析
Project/Area Number |
16K07143
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 敏明 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30647540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 聡明 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80210920)
石原 聡一郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00376443)
山口 博紀 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (20376445) [Withdrawn]
河津 正人 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任講師 (20401078)
野澤 宏彰 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (80529173)
川合 一茂 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80571942)
畑 啓介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60526755)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大腸がん |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにマイクロサテライト高度不安定性を呈する(MSI-H)大腸がんの収集を精力的に進めてきた。2000年から2015年までに本学医学部附属病院大腸・肛門外科で切除した大腸がんに対しマイクロサテライト不安定性検査を行ったところ、MSI-H大腸がんは120人(122箇所)であった。 がんの局在は、盲腸15例(20%)、上行結腸26例(35%)、横行結腸19例(26%)、下行結腸3例(4%)、S状結腸10例(14%)、直腸1例(1%)であった。 既に57例の次世代シーケンサによる全エクソンシーケンスが終了した。1例あたり、一塩基置換が平均1088個、欠失または挿入変異が平均356個認められた。KRAS、BRAF、APC、RNF43、TP53などの既知の変異や、複数の検体で見られる新規の遺伝子変異が確認された。 現在、候補遺伝子変異について、遺伝子発現ベクターを作成し、細胞生物学的な実験(ルシフェラーゼアッセイ、3T3細胞を用いたトランスフォーメーションアッセイ)により発がんへの寄与を検討している。 さらに、全エクソンシーケンスを元にコピー数解析を行う。全クローンに生じている変異か(その中でも両アレル変異か片アレル変異か)、サブクローンにのみ生じている変異かを検討する。癌抑制遺伝子領域のコピー数減少や、癌遺伝子領域のコピー数増加が癌の発生に関与することが知られている。また、コピー数の変化を伴わない異常として片親性ダイソミー(Uniparental disomy;UPD)があり、2本ある染色体のうち片親由来の一定領域が消失する。UPDが多発している領域から癌の原因遺伝子が同定され得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に57例の次世代シーケンサによる全エクソンシーケンスが終了し、解析中であり、概ね予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、MSI-H大腸癌約60症例についてのゲノム解析を行う。MSI-H大腸癌より抽出したRNAの質をバイオアナライザまたはtapestationで評価し、RNA Integrity Numberが高い試料については、次世代シーケンサを用いたRNA配列・発現・融合遺伝子解析を行う。 さらに、次世代シーケンサを用いたbisulfite sequencingによりメチル化DNA解析を行い、DNAミスマッチ修復遺伝子のサイレンシングを検討する。
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