2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K07152
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
松村 幸子 公益財団法人がん研究会, がん研究所 蛋白創製研究部, 特任研究員 (90414052)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 癌 / 細胞外ベシクル / 基板吸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞はエクソソームなどの細胞外ベシクルを放出し、細胞間で核酸、タンパク質、脂質などを情報として伝達している。エクソソームはがんなどの疾患に深く関わることが明らかとなり、体液中のエクソソームを利用した非侵襲的な診断(リキッドバイオプシー)に向けた研究が進められている。しかし、エクソソームと呼ばれるものには様々なベシクルが含まれており、性質も機能も異なることが想定されるが、これらの見分け、仕分けは現状では困難である。エクソソームは一般的には「サイズ」と「密度」によって分けられているが、本研究では「基板吸着」を利用してエクソソームの性質の違いを見分けることを目的に研究を進める。 平成28年度は、基板上でエクソソームの膜上の分子の局在を調べるため、ベシクルの内側の膜を露出させる方法の検討を行った。エクソソームマーカーとして知られる膜タンパク質CD63の細胞質側にEGFPを付加した融合タンパク質を発現させた細胞株からエクソソームを回収し、基板に吸着させた。ガスを吹き付けるとベシクルの上側が除去されて円形の平面状の膜が残り、そこにEGFPが存在することを、抗体と金粒子を用いたラベルと原子間力顕微鏡観察によって明らかにした。CD63とmCherryとの融合タンパク質でも同様の結果が得られ、簡便かつ短時間の吹き飛ばし法で、膜の内側に存在する分子を検出できることを示した。浸透圧を低下させることでもベシクルの内側を露出させることが可能であったが、数時間以上必要であった。つぎに、エクソソームに含まれるのか議論があるβ-アクチンの局在を吹き飛ばし法で調べた。β-アクチンの発現量が少なくさらに検証が必要であるが、がん細胞由来のエクソソームの内部に存在する可能性を示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基板上でエクソソームの内側の分子を検出することに成功しており、おおむね当初の計画どおりに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度から引き続き、エクソソームの内側の膜に存在する分子の探索を進める。また、平成29年度は基板上に吸着するエクソソームの形状の違いとエクソソームの性質の関連性について調べる計画となっており、これを進める。
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Causes of Carryover |
使用する抗体の検討が予想よりうまくいったため、購入費を抑えることができた。また、旅費と人件費も当初計画より抑えることができたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画に加え、さらに研究内容を充実させるため、生じた次年度使用額は試薬の購入と人件費に使用する予定である。
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Remarks |
がん研究会がん研究所蛋白創製研究部ホームページ http://molcraft.org
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Research Products
(1 results)