2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K07156
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
畠山 慶一 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (20564157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 義昌 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30711155)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プロテオミクス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に微細構造への抗体の固定化方法の最適化を行った。そこから、モノリスシリカ上に物理吸着による固定化が安定して高密度に抗体を固定できることを示した。今年度は、そのデバイスを用いて、分泌タンパク質の検出感度の推定を試みた。pmolからfmol程度細胞から分泌しているタンパク質であれば、このデバイスで検出できる可能性を示した。実際に、作製したデバイス上で単一細胞由来の分泌性タンパク質の蛍光検出を達成することができた。今度、さらに検出感度の向上、並びに複数タンパク質を検出するための条件検討を行っていく。 次に、モデル分子を決定するために、C1システムと次世代シーケンサを用いた大腸がん細胞の単一細胞解析を行った。具体的には、C1システムを用いて単一細胞の分離と増幅工程を含めた次世代シーケンサ用のライブラリの作成を行い、その後次世代シーケンサによるRNA-seqを実施した。その結果、大腸がん細胞株で常に発現している分泌タンパク質をコードする遺伝子を複数同定した。さらに特定の細胞集団にのみ発現している遺伝子も同時に同定することができた今後は作製したデバイスを用いてこれら同定分子の蛍光検出とMSイメージングを行っていくこととする。 最後に、MSイメージングの精度を向上するために、キャリブレーションの手法を検討した。標準物質とOrbitrap systemのlock MSを利用して測定エリア内の質量誤差を1-3 ppm以内に抑制することができた。これにより、目的タンパク質由来のペプチド断片を精度よく検出できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、単一細胞の複数タンパク質の検出と、単一細胞の遺伝子発現解析を実施する計画になっている。単一細胞解析は計画通り達成することができた。それにより、コントロール分子の同定につながった。一方、作製したデバイスを用いた複数タンパク質の検出にはいたっていない。しかしながら、MSイメージングの精度向上を達成したことにより、今後複数タンパク質由来のペプチド断片を高精度に検出できる可能性が広がった。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今度は、残りの研究計画通りに固定化できる抗体の種類を増やすとともに、複数タンパク質の蛍光検出並びにMSイメージングを試みる。また、単一細胞解析とこの作製したデバイスで同定された分泌タンパク質が大腸がんFFPE組織切片でどのように発現しているかを調査する。
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Causes of Carryover |
今年度は、当初計画にあった複数タンパク質の検出の実施までには至っていない。そのため、次年度使用額が発生した。次年度は、複数タンパク質の検出を行うのでこの次年度使用額を割り当てる予定である。
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