2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K07173
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 豊 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (40353461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉利 慶介 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (30718995)
小川 和彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40253984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | X線 / 重粒子線 / 抗腫瘍免疫 / 免疫チェックポイント阻害剤 / アブスコパル効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線は非照射領域に対しても抗腫瘍効果を引き起こすアブスコパル効果を誘発し、腫瘍免疫療法の奏効率向上に寄与する可能性がある。しかし、どのような症例に有効であるか十分に解明されていない。本研究では、2種類の放射線(X線と重粒子線)を用い、腫瘍免疫療法における放射線の効果的な利用法を明らかにするとともに、簡便な効果予測法を開発し、効果予測マーカを同定することを目的とする。それにより、どのような症例に対し腫瘍免疫療法に放射線治療が重要な役割を果たすか事前にかつ簡便に見つけ、奏効率の高率化とオーダーメイド腫瘍免疫放射線療法の指標を提供しうる。 本年度は、初年度に引き続き、骨肉腫移植マウスモデルを用い、以下のことを明らかにしてきた。 (1)マウス骨肉腫モデルを用い、両脚に腫瘍を移植し、片脚にのみX線を照射し、IL-2/S4B6の併用により、照射腫瘍の放射線増感効果、非照射腫瘍の一時的な増殖遅延がみられた。また、生存期間が有意に延長し、非照射腫瘍には抗腫瘍免疫を促進するCD8+T細胞の局在の増加している一方、腫瘍免疫にブレーキに働く制御性T細胞の局在は無治療群に比べて変化がなかった。 (2)同様の実験系で片脚にのみX線を照射し、2種類の免疫チェックポイントの併用により、67%のマウスで非照射腫瘍の増殖抑制、遠隔転移の有意な抑制効果がみられ、生存期間が有意に延長した。 (3)同様の実験系で片脚にのみ重粒子線を照射し、2種類の免疫チェックポイントの併用により、50%のマウスで非照射腫瘍の完全消失、遠隔転移の有意な抑制効果がみられ、生存期間が有意に延長した。非照射腫瘍には抗腫瘍免疫に重要な役割を果たす活性型CD8キラーT細胞が局在していた。さらにCD8を除去することで非照射領域の腫瘍縮退が見られなくなったことから、CD8介在性の照射野外効果であることを示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)マウス骨肉腫モデルを用い、両脚に腫瘍を移植し、片脚にのみX線を照射し、IL-2/S4B6の併用により、照射腫瘍の放射線増感効果、非照射腫瘍の一時的な増殖遅延がみられた。また、生存期間が有意に延長し、非照射腫瘍には抗腫瘍免疫を促進するCD8+T細胞の局在の増加している一方、腫瘍免疫にブレーキに働く制御性T細胞の局在は無治療群に比べて変化がなかった。この知見を報告した。Takahashi Y, et al. Radiation Enhances the Efficacy of Antitumor Immunotherapy with an Immunocomplex of Interleukin-2 and Its Monoclonal Antibody. Anticancer research. 2017 Dec 1;37(12):6799-806.
(2)同様の実験系で片脚にのみX線を照射し、2種類の免疫チェックポイントの併用により、67%のマウスで非照射腫瘍の増殖抑制、遠隔転移の有意な抑制効果がみられ、生存期間が有意に延長した。この知見を報告した。Radiation enhanced the local and distant anti-tumor efficacy in dual immune checkpoint blockade therapy in osteosarcoma. PloS one. 2017 Dec 18;12(12):e0189697.
(3)(2)の実験系でX線の代わりに重粒子線を用いて同様の研究を行ったところ、半数のマウスで非照射領域の腫瘍の完全消失が見られた。現在、論文投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までにX線および重粒子線と2種類の免疫チェックポイント阻害剤の組み合わせで優れた抗腫瘍効果が得られることが明らかになった。一方で2種類の免疫チェックポイント阻害剤だけでは全く効果がない結果も得られている。 今後はこの奏功例、非奏功例に着目し、腫瘍および、末梢血のリンパ球のタンパク、遺伝子解析を行い、奏効率の規定因子の候補を解明する予定である。
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Causes of Carryover |
当初、論文投稿前の英文校正・投稿費で使用予定で残しておいたが、翌年度に流れ込んだため。
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Research Products
(7 results)