2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16K07199
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永森 一平 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20624729)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | piRNA / MIWI2 / H3K4me2 / Gonocyte / spermatogonia |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題における目的は生殖細胞特異的な小分子RNAであるpiRNA(PIWI-interacting RNA)が、どの様にしてDNAメチル化を導入しているか、その分子機構を解明することにある。我々の研究室では、piRNAと結合したMIWI2(Mouse PIWI2)複合体が、piRNA依存的なDNAメチル化に必須の役割を担っていることを見出してきた。又、他の研究室から、piRNA依存的なDNAメチル化は、piRNAとは独立してDNAがメチル化される領域よりも遅れて獲得されることが報告されている。以上のことから、piRNA依存的にDNAがメチル化される領域には、一過的にDNAメチル化を阻害する機構が存在し、これらを消去することが、MIWI2-piRNA複合体の役割であると考え、研究を行ってきた。 DNAのメチル化を阻害する機構として、H3K4me2(4番目のリシンがジメチル化されたヒストンH3)が知られている。前年度までに、DNAメチル化が完了している出生後の精原細胞では、このH3K4me2の局在が認められなかったが、MIWI2欠損精原細胞では多くのH3K4me2が検出された。これらのH3K4me2の増加は、piRNA依存的なDNAメチル化が獲得される胎仔期ゴノサイトにおいて、もともと多く局在していたものが消去されなかったのか、あるいはその逆にゴノサイトから出生後の精原細胞にかけて、MIWI2が無いことによって、H3K4me2が異常に増加してきたのか、この点の検証を行った。そのために、piRNA依存的なDNAメチル化が獲得されてないが、piRNAとは独立したDNAメチル化は確認されている胎仔期16日齢のゴノサイトを回収し、H3K4me2抗体を用いたChIP-seqを行った。その結果、H3K4me2はDNAがメチル化されない領域とpiRNA依存的にDNAがメチル化される領域に多く局在していた。この結果から、piRNA依存的なDNAメチル化が若干遅れて獲得されるのは、DNAメチル化を阻害するH3K4me2が多く局在しているからであり、これらの消去がMIWI2-piRNA複合体の役割であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)