2017 Fiscal Year Research-status Report
In vivo metabolomic analysis and metabolic alteration-targeted treatment on diabetic nephropathy model .
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16K07203
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久保 亜紀子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (50455573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 和季 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (50378759)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メタボロミクス / 代謝 / 糖尿病性腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、2016年度に確立した方法で、正常動物と病態モデル動物、さらに薬物を投与した病態モデル動物から腎臓のサンプリングを行い、CE-MSと質量分析イメージングを融合させたin vivoメタボロミクス解析を行った。それぞれのモデル動物群について、臓器のサンプリングを行う前に尿を採取して腎機能の評価を行い、腎障害の程度と、薬物による治療効果を皮質、髄質、皮髄境界でのエネルギー代謝関連代謝物の変化を元に評価した。 当初の計画では、2017年度には安定同位体で標識した化合物を病態モデルマウスに投与し、腎臓でのエネルギー代謝関連基質の代謝経路を特定する実験を予定していたが、2016年度に行ったIn vivoメタボロミクス解析の結果を検証すると、病態モデル動物の腎臓では核酸全体が分解されて減少しており、エネルギー代謝に必要な核酸の総量に大きな変化が認められた。すなわち、この病態においては核酸の喪失を防止することで、エネルギー代謝を回復させることが重要であることが示唆された。 そこで、2017年度は、病態モデル動物と正常動物に核酸の分解を抑制する代謝拮抗薬を投与し、腎臓のエネルギー代謝、および腎機能が薬物投与によって回復するかどうかを検討した。 当初の予想とは異なる方向からの治療アプローチではあるが、病態モデルマウスにおいて、代謝拮抗薬の投与が効果的である可能性が示唆された。研究は概ね順調に進んでおり、今後は統計処理を行うために、動物の数を増やして検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は病態モデル動物と比較用の正常動物にエネルギー代謝に関連のある核酸の代謝拮抗薬を投与し、腎臓のエネルギー代謝に関連すると考えられる代謝物のin vivo メタボロミクス解析を行なった。当初は、病態モデルマウスでは、高血糖状態によって代謝バランスが崩れることで腎障害をきたしているのではないかと予想していたが、病態モデル動物では、エネルギー代謝基質の供給だけでなく、エネルギー代謝を行うための核酸代謝に大きな問題が生じていることが見出された。 そこで、核酸の代謝拮抗薬を投与することで、病態モデル動物での腎機能が回復するかどうか、またエネルギー代謝が回復するかどうかを見極めるために各群の比較を行った。 今後は、病態モデル動物に薬物を投与することで、腎機能が回復すること、また、腎機能の回復と並行して腎臓のエネルギー代謝が回復していることを統計的に処理できるよう分析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018度は、初年度に構築した実験系を用い、エネルギー代謝に影響を与える核酸代謝の拮抗薬を病態モデル動物に投与し、エネルギー代謝への影響を検討する。同時に、病態モデル動物に薬剤を投与し、生化学的方法で腎機能を評価する。
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Causes of Carryover |
2017年度に国際会議での発表を予定していたが、代謝拮抗薬を用いた実験の結果の発表を控えるため今年度は見送った。国外旅費として計上していた予算は次年度に繰り越した。
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