2017 Fiscal Year Research-status Report
疾患関連SNPが引き起こす細胞のエピジェネティック病態ー統計モデリングと実験検証
Project/Area Number |
16K07218
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
竹内 史比古 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (50384152)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノムワイド関連解析(GWAS)により、様々な疾患と関連する多数の一塩基多型(SNP)が同定されたが、疾患機序の解明には殆どつながっていない。疾患機序を解明するためには、疾患関連SNPが、どの組織において細胞状態に影響するかを明らかにする必要がある。 本研究では、疾患関連SNPが各種の細胞のエピジェネティックな状態に与える影響を予測する統計モデルを構築し、実験検証する。これまで別分野で行われてきた、eQTL/mQTL解析とエピゲノム解析のデータを組み合わせることにより、SNPと細胞のエピジェネティック状態を関連づける。 本年度は、エピジェネティックな状態と疾患発症の因果関係を解明するためのモデル構築と文献調査を行った。またラットの公開エピゲノムデータを統合解析した。予備的な細胞実験も行った。 因果関係のモデル化については、PearlらのStructual Causal Modelを基本とし、Mendelian Randomizationも用いた。メタボリックシンドロームの各種疾患を対象とした。また、CpGメチル化に影響しうる環境として、喫煙も対象とした。これらの疾患および環境について、Epigenome-wide association studyの文献を調査した。ゲノムワイドな有意水準を満たし、かつ再現性のあるCpGが見つかっていた。 CpGとの関連については、確度の高い結果が得られているが、因果関係については、研究方法も含めてまだ不確定なところがあった。例えば、糖尿病と関連するCpGについて、1) CpGメチル化が糖尿病を引き起こした、2) 糖尿病の影響によりCpGメチル化が変化した、3) 双方向に影響、4) 相互に因果関係はないのに別の交絡因子により相関が起きている、の4通りが考えられる。Mendelian Randomizationおよび大規模GWASからは、2と4が多いことが示唆された。全血で測定したエピジェネティック状態が個別の疾患を正確に反映していないこと、また喫煙が交絡していることを示す結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画に沿って進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に沿って進める。
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Causes of Carryover |
本年度は解析の大部分を所属機関のサーバで行い、外部計算機の使用料が少額であったため。今後は、計算機使用料に加え、統計モデルの検証実験に使用する。
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