2016 Fiscal Year Research-status Report
糸状菌由来リボソーム・ペプチド合成遺伝子のバイオインフォマティクス解析による探索
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16K07226
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
長野 希美 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人工知能研究センター, 主任研究員 (70357648)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糸状菌 / ゲノム / バイオインフォマティクス / リボソーム・ペプチド / 二次代謝 / 遺伝子 / 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
菌類のリボソーム・ペプチド(RiP)を合成する二次代謝系遺伝子を探索するために、631種類の(糸状菌だけでなくキノコ類を含む)菌類ゲノム・データをJGI(米国・DOE Joint Genome Institute)のデータベースから取得し、AspGDのフォーマットに基づいて、遺伝子情報のデータを作成し、更に下記の解析を行った。 ①ドメイン予測;蛋白質ファミリーデータベース・Pfam(ver.30)を用いて、全遺伝子配列に対するドメイン予測(hmmsearch)を行い、Pfam-A全ドメインを対象に行った。 ②全遺伝子の膜貫通領域予測;TMHMM-2.0cというプログラムを用いて、膜貫通領域の予測を行った。 ③シグナルペプチド解析;SignalP-4.1というプログラムを用いて、全遺伝子のシグナル配列解析を行った。 631ゲノムから、RiPを環状化させる酵素遺伝子(UstYa/Yb)のホモログ遺伝子は、7,245個検出され、1ゲノム当り、11個のUstYaホモログ遺伝子が存在する事が判明した。また、ゲノムによって、UstYaホモログ遺伝子のない生物種もあることが判明し、偏りが存在する事が判明した。また、631ゲノムのうち、約40ゲノムに対して、RiP前駆体遺伝子の前提条件である繰返し配列の検出とKex2プロテアーゼに切断されるサイトの検出などの解析を行っている。上記のドメイン予測、TMHMM解析により、これまでのAspergillus糸状菌類の解析では除けなかった偽陽性(false positives)のデータを排除することができると考えられる。予備的な解析では、各ゲノムにRiP前駆体遺伝子候補は数十個、存在すると予測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定よりも遥かに多い数(631)のゲノム・データを扱い、キノコ類のゲノムも入れて比較解析することにしたので、時間は掛かっているが、ドメイン解析など、概ね予定通りに進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
繰返し配列の解析に、当初の予定よりも時間が掛かっているので、計算に利用するサーバーの数を増やすなど、対策を講じる予定である。 また、RiP前駆体遺伝子の周辺の遺伝子、UstYaホモログ遺伝子周辺の遺伝子について解析するプログラムを作成し、RiP 前駆体候補遺伝子の解析、ustYa/Yb 環状化酵素遺伝子が共役しているRiP 候補遺伝子の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定だったパソコンの在庫がなく、購入時期が年度をまたいでしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度をまたいでしまったが、次年度の初めにはPC購入の契約が締結できたので、ほぼ全額使い切ったことになるので、問題ない。平成29年度の使用計画には、反映される予定である。
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