2018 Fiscal Year Annual Research Report
Winter flowering orchids: their ecology and conservation
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16K07236
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉浦 直人 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (50304986)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 自生地保全 / ミツバチ媒花 / 冬咲き / だまし受粉 |
Outline of Annual Research Achievements |
〔ヘツカラン〕ほぼ野生絶滅とされている本種の自生株の探索を、10月と12月に鹿児島県大隅半島で実施し、以下の特に保全管理上、有益な知見を得た。①照葉樹林に約10株が自生しているのを発見した。その大部分はスダジイに着生していた。発見した株のほぼ全てが木の又や横枝の上にのるか、あるいは幹にできた亀裂や洞の中から生えており、 典型的な着生とは異なる生育習性をしめした。このことは、本種個体群が長期にわたって維持されるためには大木の生える森が必要であることを示唆する。②ヘツカランという名の由来となった佐多辺塚を訪れたところ、多くの民家の敷地内とその近辺でヘツカランがみられた。特に山際にある民家ではそれが裏山と一体化しているため、庭先のヘツカランもハチ巣箱も野生のものと実質違いがない状態にあった。それらの稔実状況は非常に良好で蒴果が鈴なりになっていた。その一因はこの地域でニホンミツバチを用いた個人養蜂が盛んなためかもしれなかった。良好な稔実率を反映して栽培株から飛散した種子由来と思われる株が居住地のあちこちでみられ、民家の株がソース個体群の役目を果たしていると考えられた。〔コゴメキノエラン〕①9月下旬に奄美大島を直撃した台風によってコゴメキノエランの着生木1本を含む林内の高木の一部が倒れ、樹冠部も吹っ飛んだため、自生地の森林内は明るく風とおしがよくなった。②今年度は暖冬であったため、開花が早くから開始され(12月下旬?)、訪花昆虫調査を実施した1月中頃にはすでに満開すぎの状態だった(子房が膨らみ始めた花、花被片が閉じた花あり)。調査中は比較的天候に恵まれたにもかかわらず、花粉媒介昆虫を1匹も確認できなかった。③3月中旬に調査した稔実率は28.8%(13株18果序518花)と無報酬花としては非常に高い値を得た。これは上記した自生地の光環境のと暖冬であったことの2点がその一因と推測された。
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Research Products
(1 results)